網代漁業の選別機
市場内に設置
ローラー
藤田鉄工所は水産業界で一次加工処理や選別処理を得意とするメーカー。鮮魚ローラー選別機の先駆者で、選別精度の良さに定評がある。
網代漁業が導入したローラー型選別機とは、ローラー13本を回転させた上に魚を流し、魚体をローラーに対して水平にさせ胴体の太さで選別するもの。ローラー間隔より胴体が細い魚は下に落下し、太い魚は上に残る仕組み。多段階選別を行う場合は、ローラー選別機を何台か連結させる。
水をかけて魚を傷つけない
ローラーの間隔やローラーの太さは水揚される魚に合わせて使用する。ローラーの上を魚が流れる時に魚が痛まないよう、シャワーをかけてローラーに水の膜を作る。
網代漁業に納品されたローラー選別機は径の違う2種類のローラーを交互に配置。ローラーが1回転する時間を同じにさせることで、隣り合うローラーの表面にスピード差を生じさせる。これにより、魚を溝に確実に誘導させる。これは「EK選別ローラー」として、2000年に藤田鉄工所が開発し、特許取得した独自技術。
EKローラー拡大
EKローラーでサバを立たせて
確実に選別
さらに選別精度を上げるために、魚の重なりを解消させる工夫もしている。大きな魚体の上に小さな魚が乗ると、選別される魚がローラー上に残ってしまうことになる。これを防ぐために、定量供給装置として「ホッパー汲揚」を奨めている。
可変速モーターを使用し供給量を調整できるよう「ホッパー汲揚」が適量の魚をコンベアに乗せてくれる。
網代漁業では、「ホッパー汲揚」から続くコンベア上でブリ、タイなどの太物をまず手選別。次の段階で小型魚を選別していき、太物にダメージを与えないよう工夫している。
ホッパー汲揚で選別機にかける量を調整
ベルコンの穴つきベルトで
水を取り除く
コンベアは、多量の水が使用される加工場で使われることも多いため、水に強い素材を使用している。また、魚の脂が付着して空回りしないよう、防止策も組み込まれている。同社のベルトコンベアは、冷凍冷蔵庫生ライン、冷凍冷蔵庫脱パンライン、トンネルフリーザー出口、残さいコンベアなど様々な場面で活用されている。
ベルコンの耐水性モーター
網代漁業で選別機を導入する前は、10tの漁獲物を20人で4時間もかけて手作業で選別していた。年間約1100tが漁獲されるうち、半分がカタクチイワシ、ほかに39種類以上の魚が漁獲される。そのため市場岸壁での魚種別、サイズ別に分ける作業は時間がかかり、夏場は魚の鮮度低下の原因となっていた。
選別機を導入すると、4分の1の1時間で選別できた。3段階選別で4種類に選別。短時間で効率良く選別できるため、エサ用に扱われていた魚が生鮮で販売できるようになったそうだ。
網代漁業の泉澤社長は「マイワシを100%選別できる。鮮度の悪いものはkgあたり数円で取引されていたが、素早い選別で鮮魚販売できるようになりkgあたり数百円と魚価が大幅アップした」と増収効果があったと話す。
網代漁業の泉澤社長(左)
4時間の作業が1時間になったため、1日1回であった操業を2回できるようになり、漁獲量も増やすことができた。
藤田鉄工所の小野寺政行営業課長は、「大型タイプのローラー選別機だと7段階まで選別できる。さらに精密に冷凍工場内で15段階にグラム選別できる機器も納品している」と話す。HACCPに対応した選別ラインも製造している。
同社は1957年にローラー選別を開発、72年にローラー間隔を一定にさせる精密なローラー開閉技術、さらに2000年に2種類のローラーで選別制度を上げるEK選別技術で特許を取得と、精度向上への努力を惜しまない。
「北海道から三陸はサンマ、三陸から銚子はアジ、サバ、イワシ、東京から九州はアジを主体に選別する。アジといっても十数種類あり、サバも数種類あるので選別は不可欠だ。全国各地の市場や加工場で使用してもらっているが、当社のローラー選別機は、選別精度が良く、仲買人や加工業者からも好評」(小野寺課長)
えび自動選別機、加工場や
船上で使用可
藤田鉄工所は鮮魚生処理ライン(鮮魚ローラー選別機、重量選別機、氷入れ機、タンク回転機)のほかにも、自動脱パンライン(脱パン機、脱パン投入機、空パン積機、製品積機他)、食品加工ライン(サケフィーレ、サンマ刺身、ホタテボイル他)、ベルトコンベア各種を取り扱い、業界を支えている。
自動脱パン投入機
株式会社藤田鉄工所
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