高床式砂栽培農業施設を活用して地域雇用を創出

 東レ建設国際電気通信基礎技術研究所(=ATR)、グリーンファーム、シスコ、東レ、東京農業大学、大阪市立大学、日本砂栽培協会、グリーンファームかずさで構成するコンソーシアムは、地域住民が参加する「シェアリング農業」の実証事業を1日開始した。
 農業が初めての人、高齢者、女性でも容易に作業ができる東レ建設の高床式砂栽培農業施設「トレファーム(R)」を活用し、栽培環境や作業状態等の各種データを収集するIoT技術を合わせることで、様々な人のライフスタイルや体力と必要な農作業をマッチングして短時間でも農作業に携わることができる。この「シェアリング農業」によって地域雇用創出と地域活性化につながる新しい農業のカタチをめざす。

      高床式砂栽培農業施設

 実証実験では温度、湿度、灌水などの栽培環境データと作業に関するし好性や身体的負担などの作業状態データを収集し、圃場管理や作業者の招集をインターネットで統合的に行うシステムを構築する。
 作業者が予めシステムに入力した希望作業時間・内容と農園主の栽培計画をシステムがマッチングし、自動的に作業者に招集メールを発信する。
 東レのウェアラブルセンサー「hitoe(R)」から得た作業時のバイタルデータは、作業者が参照してより適切な作業の選択に役立てる。
 灌水不足や作業者の体調など、異常を感知すると、システムは農園主に自動で異常メッセージを発信する。
 農園の画像や環境データ、サポーターの感想や意見などをシステム上で農園主と作業者がリアルタイムに共有することで、農園の「見える化」を図る。
 実証事業は京都府精華町のけいはんな学研都市、大阪府四条畷市、千葉県君津市の3カ所で、周辺の地域住民約50人の協力を得て、来年2月まで行う。実証の中核拠点はけいはんな学研都市のATRで、その施設内には東レ建設の実証農園「トレファームラボ」が8月30日開園している。
 取り組み後は実証で得た効果や課題をもとに事業モデルを確立し、社会参加や就労機会の創出、地域コミュニティづくり、食育、地産地消などに貢献する新しい農業のカタチを創る。東レ建設とATRは、ATRに設置した実証農園「トレファームラボ」を、地域住民と新しい価値を共創していく拠点・仕組みとして継続する。

 東レ建設の高床式砂栽培農業施設トレファームは高床式のベッドで砂を培地とし液肥で野菜を栽培する施設。砂の軽い質感と腰をかがめない作業姿勢によって、農作業が軽労になり農機具も必要としない安全・安心な農法なので、障がい者の就労支援施設やUR都市機構の団地再生事業などで導入されている。
 軽労・安全・安心なトレファームは高齢者に「緩やかな就労」の機会を提供できる就農施設として、政府が提唱する健康寿命延伸に貢献する施設としても期待されている。