水産庁は青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の水産加工業者に東日本大震災からの復興状況を調査するため2015年11月12日から2016年1月31日までアンケートを実施した。該当5県の全国水産加工業協同組合連合会傘下組合所属等の890企業を対象とした。
生産能力が8割以上回復した業者は宮城県69%、福島県30%、茨城県48%、岩手県60%、青森県100%と半数強。
売上げが8割以上回復した業者は、宮城県 60%、福島県21%、茨城県28%、岩手県61%、青森県90%と生産能力の回復に比べ遅れが目立つ。
福島は回答件数が上位にあるにもかかわらず回復した割合が低く、厳しい状況がうかがえる。
生産能力が8割以上回復した業者は、資本金5000万円以上の回答件数29件に対し73%、1000〜5000万円は回答129件に対し61%、1000万円以下は回答件数110件に対し49%と企業の規模により差が大きい。
売上げが8割以上回復した業者は、資本金5000万円以上で59%、1000〜5000万円は52%、1000万円以下は39%とさらに規模の大小が回復に影響している。
資本があれば生産能力は回復できるが、それに伴い売上げが回復するとは限らない。復興における問題点として販路の確保・風評被害をあげた割合が多かったが、売上げの回復が遅い理由と思われる。
販路回復で必要とされる施策としては、既存の販売チャネル以外における販売(26%)、新商品の開発(25%)、展示会等への参加(16%)があげられている。
調査と合わせヒアリングした中で成功事例としては「販路拡大のため、百貨店、駅、高速道路SA売店へも営業を行い、売上げ増となった」、「新商品開発で品評会等を受賞する目標を立てそれに向けて商品開発を行った」、「商談会、物産展等イベントに参加した」などがあがっており、前述の施策に取り組めた企業は成果が出ている。
その他の復興における問題点としてあげられた人材確保、原材料確保については下記のように回復がおくれている。
人材確保は募集しても集まらないが48%(昨年52%)、労働条件の改善が22%(昨年18%)、宿舎の確保が13%(昨年12%)。
原材料確保は原材料価格の高騰が42%(昨年40%)、水揚げ回復の遅れが30%(昨年24%)。
回収率は全体で30%(268企業)。回答があった企業は宮城県で129件、福島53件、茨城50件。岩手26件、青森10件だった。