中国ルポ��
煙台日魯大食品、工場の合理化進む、今年は1200万円投資
マルハニチロと龍大食品集団の合弁会社、煙台日魯大食品（山東省莱陽市、王呈濤総経理）の2009年売上高は5000万元弱（約７億5000万円）で着地した。08年は天洋食品事件の影響で半減という危機的状況を余儀なくされたが、「何とか乗り越え07年対比で六割程度まで戻した」（今村敬品質保証部副部長）という。同社はリース契約していた東工場を08年末パートナーの龍大食品に返却、それまでの２工場から１工場２直体制にしたことで「07年レベルの利益は確保することができた」という。
従業員の人集めが年々難しくなっている現状を踏まえて、09年は約70万元（約1050万円）を投資し、工場内の運搬と洗浄部分の自動化を推進した。「製品を乗せて運ぶパン（板）は使用するごとに洗浄しているが、これを人手から自動洗浄機に替えるだけで、この部分の作業員を四割減らせた」（今村副部長）。またフリーザー前後の工程にコンベアを導入。バンド掛けも半自動化した。
さらに今年は「加熱前工程からフライヤーまでコンベアを通すなどで、80万元（約1200万円）を投資する」計画。天洋食品事件の前から監視カメラ８台を設置していたが、「09年は首振りタイプのカメラ３台追加」。今年は予冷庫などに５台を追加することで、「完璧に死角をなくす」という。
手作りの良さは生かしながらも機械化を進めている
従業員の研修強化、福利厚生も年々充実
藩連明生産副部長によれば、「莱陽市から通っている従業員は全体のわずか14％。河北省と河南省出身が49％で、半数近くが山東省以外から来ている」という。また従業員の八割が1980年以降に誕生した人で占める。「09年の春節明けに戻ってきた従業員は48％。新人を集めて、一からの教育には時間が掛かる。労働の質を安定させるのが今後の大きな課題になる」としている。
その一環として、「昨年から毎月誕生会を実施。誕生カード、お土産、食事を出している。また悩み事の相談会も定期的に開催し、仕事や生活面の提案や不満を吸収している」（藩氏）という。龍大グループとしての研修会以外にも、「当社独自の教育・研修会を月に２回実施。パソコンとプロジェクターを使い、身近な内容としている」。仕事の提案活動も活発に行ない、「優秀な提案者には賞金を出している」。
１位「花まる野菜串」、２位「かきあげ」、３位「わくわくどうぶつ＆ウインナー串」
同社が生産する商品は100％日本のマルハニチロ食品向け。業務用が５％強で、残りは市販用。内販実績はゼロだが、「昨年、商品開発の担当者を配置するなど、内販の準備は徐々に進めている。ただし、まずは足元の日本向けから固めるのが先決だ」（今村副部長）という。同社の売れ筋ベスト３は�。擬鏖屬泙詭邵擽��△�きあげ��わくわくどうぶつ＆ウインナー串。いずれも中国ならではの「手作り感」が生かせる商品。「市販用商品がけん引している形だが、今年は業務用も増やしていく」考え。