新型の無人フォーク、走行速度と機動力を大幅アップ
三菱ロジスネクスト（京都府長岡京市、久保隆社長）は物流倉庫向けにレーザー誘導方式の最新型無人フォークリフト「プラッターオートＨタイプ」をこのほど発売開始した。
従来の無人フォークに比べて走行速度、リフト速度を大幅にアップしたほか、旋回半径を小さくして機動力を高めた。「有人フォークに匹敵」（同社）する庫内作業の効率化を実現した。
物流施設では人手不足を背景に自動化ニーズが高まっているが、従来の無人フォークは搬送スピードが遅い、有人フォークと同じレイアウトで運用できないことが導入の足かせになっていた。
そこで今回の無人フォークは走行速度を標準機の時速3.6kmから最大9.0km、リフト速度もこれまでの秒速220mmから最大390mmに引き上げ、搬送能力を高めた。最大揚高は4.5ｍ、耐荷重は1000�圈福�11パレット）。走行速度とリフト速度の高速化で荷役作業のサイクルタイムを標準機に比べて約29％短縮し、有人フォークと変わらない作業効率を実現した。
新型の無人フォークは通路幅2.7ｍで旋回でき、有人フォークのラックレイアウトがそのまま
使えるようにった
また、車体のコンパクト化と最小旋回半径の縮小で有人フォークと同じシステムレイアウトを可能にした。これまでの同社の無人フォークではパレットを保管したラック間の通路幅が3.5ｍ必要だったが、新型フォークは通路幅2.7ｍで旋回でき、有人フォークのラックレイアウトがそのまま使えるようになった。標準の無人フォークに比べて保管スペースを約16％削減する。
安全面も強化した。障害物センサーを２カ所増やして前後左右４カ所に設置したほか、車両全周に安全バンパーを装備した。フォークの先端にはセンサーと接触検知機構を搭載し、パレットに接触した場合は動作を停止してトラブルを防ぐ。
床工事不要でレイアウト変更を容易に
三菱ロジスネクストは工場内物流を中心に無人フォークを提供してきたが、物流・倉庫業を新規市場と位置付け、特に全国で建設が相次ぐマルチテナント型の物流施設に適した無人フォークの開発をめざした。
マルチテナント型や賃貸型では床工事が行えないため、レーザー誘導方式を採用した。車体上部のレーザースキャナーで庫内の柱や壁、ラック棚に設置した反射板を検出し、自分の位置を把握して走行する。すでに稼働中の現場にスムーズに導入できるだけでなく、レイアウト変更も容易に行える。
複数台を同時に稼働させる場合は、独自開発の制御ソフト「Route Optimizer（オプティマイザー）」を組み込むことで最適な搬送ルートを自動で選択できるようにした。従来は車両ごとに搬送ルートが決められていたが、これによって柔軟で効率的な搬送が可能になる。さらに前を走るフォークが異常停止しても、後続のフォークが迂回コースを選択し、衝突を回避することができる。
同社は1970年代に世界で初めて無人フォークを開発した。導入台数はこれまでに500台に上るが、自動化、非接触化のニーズの高まりを背景に需要は今後も高まるとみて、新型機種を含めた無人フォーク全機種の年間販売目標を100台とした。
レーザー誘導方式の無人フォークリフト「プラッターオートＨタイプ」