わさび栽培用のコンテナ型植物工場を共同開発

 エレクトロニクス専門商社のマクニカ(横浜市)はわさびの自動栽培に取り組むアグリテックベンチャーのNEXTAGE(東京都目黒区、中村拓也社長)と資本業務提携を締結した。AIとセンシング技術を搭載したわさび用のコンテナ型植物工場の共同開発に取り組む。今年秋ごろまでに完成させ、国内総代理店として販売を開始する。

 わさび栽培は水環境の良さが重要になるため、国内は静岡県や長野県、岩手県などの一部地域に限られる。新規参入が難しく、生産量も2005年の4615tから20年には2017tに大きく減らしている。一方で、日本食ブームの影響で海外はわさびの需要が増しており、日本国内に比べてかなり高い価格で取引きされる地域もあるという。

 NEXTAGEは18年に設立し、専門知識がいらないわさびの栽培管理システムの開発に取り組んできた。レタスなどの葉物野菜の植物工場は大量生産・大量販売が収益確保の必須条件だが、わさびは促成栽培で栽培期間を短縮することで収益を確保できる。

         わさびのコンテナ型植物工場の様子

 今回の資本業務提携では、マクニカの植物工場向けサービスをわさび用のコンテナ型植物工場に搭載する。各種センサで温湿度や日射量、CO2排出量、水温などの環境データを取得し、WEBアプリで可視化するほか、カメラ画像データとAIモデルの組み合わせで植物の葉の密度や色、茎のサイズといった生育データを検出する。環境データと生育データの突き合わせで最適なレシピ(栽培計画)を分析、更新、保存することができる。

 マクニカはこうした先進技術を使ってわさびのレシピ探索と栽培管理を支援することで新規参入のハードルを下げ、コンテナ型植物工場の販売拡大につなげる考え。将来的には海外輸出支援も行うとしている。