ジャパンパック・アワード
大賞に大森機械の「エコロジーコンセプトマシン」

トレーにトップシールもできる(今回の展示機種とは
別の装置が必要)

 ジャパンパック2019のイベントで、優秀な出展製品を表彰する「ジャパンパック・アワード」の受賞企業・製品が同展初日の10月29日発表された。
 大賞は大森機械工業の「エコロジーコンセプトマシン」が受賞した。SDGs(持続可能な開発目標)へのアプローチをテーマに開発した。

 審査委員長を務めた(株)システム技術研究所の槌屋治紀所長は今回の出品傾向について「改良やロス低減は全ての受賞製品に共通するが、今回は国連で提唱されているSDGsのコンセプトを盛り込んだ新機種が多く出品されている。中でも大賞を受賞した大森機械工業の製品はまだ実装されていないとはいえ、紙トレーを機械が組み立て、さらに紙包材で横ピロー包装ができるという素晴らしい概念を盛り込んでいる」と受賞理由を語っている。

紙トレーを組み立て、盛り付け、紙の縦ピロー包装も

 「エコロジーコンセプトマシン」はコンセプトの段階であり導入例はないが、「このまますぐに使える状態」(同社)と完成度は実用レベルに達しているという。
 同ラインは(1)紙トレーを製函し(2)パスタなどを自動供給(3)さらに紙の包装紙で縦ピロー包装し(4)ロボットで番重に整列供給して段積み排出まで一連の作業を自動化した。

 これまでにも冷凍グラタンなど成形した紙トレーを使った商品はあるが、今回のコンセプトマシンは製函装置が連動しており、平たい原紙を組み立てる。接着は糊を使わない。展示会では凸版印刷の冷食向け一次容器「レンジでらくチントレー」でライン稼働を実演した。紙の接合部には薄いポリプロピレンでコーティングされており、超音波で熱圧着する。糊のように接着ムラがないため、レンジ加熱の際に食品が容器からにじみ漏れるリスクが少ない。

 包材コストはプラスチックより紙の方が若干高くつくという課題もあるが、今後進捗すると思われる食品の脱プラ化、エコ包装化の流れを先取りした提案と言える。同社ではプラ容器からの置き換えが期待できる冷食メーカーやコンビニエンスストア向けに売り込みをかける方針。

 紙の縦ピロー包装は、シール部分を必要最小限にすることで、包材使用量やゴミの削減にも寄与する。欧州では紙袋の凍菜が既に商品化されており、今後は日本でも紙袋入り冷食が普及するかもしれない。

優秀賞にマスダックの全自動どら焼き機

 優秀賞は10製品。時間や製品のロス削減を目指した機種が多い。
川島製作所の縦ピロー包装機「KBF-6000X2」は包材の接着部に食品の細かなカスや粉などが噛みこまないよう、熱圧着の前に、筒状になった包材をしごくような工程を採用した。さらに、包材ロールの交換を短時間で行える仕組みにした。

 東京自働機械製作所の「TWFX型縦型ピロー包装機」は部品の徹底した軽量化などで人手作業を軽減した。フィルムのわずかな蛇行をセンサーで感知して自動修正する機能により、蛇行を0.1mm以下に収めることで包装ミスによる廃棄ロス・時間ロスの低減を実現した。

 包装機以外では、従来機を見直して部品点数を減らし、洗浄やメンテナンス、部品交換作業時間を短縮したマスダックマシナリーの全自動どら焼き機が優秀賞を獲得した。

           紙の縦ピロー包装ができる(大森機械工業)

               製函機(大森機械工業)