コラム『ひろい書き』
被災地の情と消費地の知、情報の薄さのはざ間で

 被災地の復興がなかなか進まないのはがれきの処理だけではない……。三陸の被災地を支援するため、現地の生産業者に直接コンタクトし、商品を販売しようとした関東圏の業務用販売店。難しい問題が次々発生し、「壁は厚いよ」と頭を抱える。販売する前提となる商品情報管理が被災地の中小生産者は甘い。バーコードが付いてなく、取り決めた規格と内容がロットごとに変わる。しかも売り先と期待した食育の現場、学校給食では「三陸」というだけで放射能リスクを指摘され、使ってくれない。他の販路を探しても、供給量が足りないのでどうしても割高。市場の背景を知らない被災地の中小生産者、よせばいいのに、今後の受注を見越して包材を大量に発注してしまった。支援したい販売店社長の熱い気持ちと、早く何とか復興したい現地業者の思いは残念ながら噛み合わない。