高水準の生産性と品質を誇るハイテク工場
あわしま堂 栃木佐野工場（上）
あわしま堂の栃木佐野工場は和菓子業界で高水準の生産性と品質を誇る日本有数のハイテク工場。栃木県佐野市岩崎町に2015年10月竣工した。
敷地面積４万2423�屐�延べ床面積１万2880�屬裡崖�建て。１階には荷受け・出荷場、直売所、北関東営業所などがあり、２階は原料倉庫や冷蔵庫、３階が製造エリアとなっている。
敷地は北関東自動車道佐野田沼ICや東武佐野線田沼駅に近い工業団地内にあり、交通も便利。従業員数は社員、パート、派遣含め150名で、人の確保にも苦労はないという。
工場外観
生地は佐野工場でロットごとに製造するが、餡は愛媛県八幡浜市の本社工場で製造している。
使用する小豆は主に北海道産のえりも品種をカナダのオンタリオ州で契約栽培している。この地域は日中暖かく、夜間は冷え込む内陸性の気候のため品質の良い小豆が育つ。年間収量は約1500t。白餡などに使用する大手亡豆（おおてぼう、白いんげん）も同地で栽培している。
工場に入荷した原料豆は10℃に温度管理した専用の定温倉庫で保管する。加工する豆は豆選別機に投入。１時間当たり0.5〜１tの流量で選別する。粗選別で大きな異物を除去した後、石抜きを行う。下から風をあてながら振動を与えることで豆より重い石は上に上がって行き、除去される。その後、比重による選別、豆を磨く工程、２回目の粗選別、石抜き、風力による選別を行う。きれいになった豆を袋詰めし、再度低温室で保管。使用直前に製餡工場に搬入する。
製餡工場に運び込んだ豆は製餡工程に進むため、専用の機械に充てんする。充てんした豆はパイプを通り、自動豆洗い機に投入してきれいに洗浄する。洗浄した豆はパイプを通り煮釜へ投入。天然の地下水を使用し、自動制御の煮釜で豆の粒子を壊さないようにじっくり炊き上げる。煮上がった豆を脱水するとつぶ餡が完成する。
こだわりの原料豆
砂糖の配合量を調整するなど様々な工夫をして、商品ごとに専用の餡を製造している。炊き方や炊き時間などを変え、同じ餡でもしっかり煮詰めた小豆の風味を残した餡や、逆に多量の水を使用してクセの少ないさらっと食べられる餡などを作り分けている。
完成した餡は自動包装機に充てんし、餡包装に最適なフィルムに袋詰めして、種類、製造日、使用期限を刻印する。袋詰め後はX線異物検出機で異物チェックを行い、専用冷却器で餡を冷やす。最後に人手で漏れなどがないかを確認しながら専用コンテナに移し、餡専用の冷蔵保管庫で種類別に保管する。
同社は工場を愛媛八幡浜、京都伏見、栃木佐野と、いずれも水がきれいな土地に構えている。餡や生地に使用する水は重要で、出来上がる商品の味を左右するという。佐野工場も水は全て地下水を使用している。現在は本社製の餡を使用しているが、将来的には同工場で独自に餡を製造することも視野に入れている。