三重県の冷蔵倉庫会社、極東冷蔵の扇工場(四日市市霞2−1−5)は四日市港コンテナターミナル隣接地に、合計2万2000t超の保管型冷凍冷蔵倉庫を構えている。親会社は総合物流企業の日本トランスシティ。グループの総合力を生かし、保管事業だけでなく、足回りと一体での営業提案にも今後挑戦する。
極東冷蔵の霞工場
極東冷蔵が霞工場を構えるエリアは四日市港、名古屋港、伊勢湾岸・東名阪・新名神自動車道等へのアクセスが良く、立地に恵まれている。製氷業として昭和22年に事業を開始した同社は、顧客ニーズに応えるため冷蔵倉庫業を手掛けたが、現在は同事業が主体となっている。当初は営業倉庫を借用していたが、自社倉庫の第1棟を昭和48年、5232tの規模で竣工した。以降は寄託需要に応えて増築を重ね、現在では計4棟、計2万2000t超の収容能力を有する三重県有数の冷蔵倉庫会社となっている。4棟は「霞工場」(第1棟、第3棟、第4棟)と「霞第二工場」(第2棟)の2つに大きく分かれる。
霞工場は3階建てで、エレベータ2基、垂直搬送機4基を備えている。同第二工場は平屋構造、収容能力5168t規模で、55年に竣工した。
現在の収容能力は霞工場1万5663t、同第二工場6452t。両工場ともスペースの大半がF級倉庫で、延べ床面積の8〜9割を占める。残りはC級倉庫や荷捌き場となっている。
丁寧な荷約作業も顧客から評価を得る
寄託品は各棟とも食品原料が主体。主に三重県下の製品企業が、同社倉庫を原料保管拠点として賃借しているケースが多い。
寄託品の構成比は冷凍水産品50%、冷凍野菜など農産品30%、製品(冷凍食品)15%、畜肉5%。内貨、外貨で分けるとおおよそ半々という。保税上屋・保税倉庫許可、畜産物の輸入検査場所指定を取得している。
川村取締役と樋口雅史総務課主任
計2万2000t超の収容能力に対し、在庫トン数はフル稼働時で9000t程になるが、現在は稼働率75%程度。川村吉毅部長は「一昨年頃から低在庫傾向となっている」と現状を語る。
荷主の安全志向を先取りし、空調機能付きのドックシェルターを霞工場に平成7年、同第二工場には14年に各々6基を据え付け、荷の品質管理をきちんと保てるよう設備を整備した。入出庫作業時も荷の温度管理が行き届くようになった。17年には霞工場に耐震補強を施した。
荷役作業は、霞工場では委託。同第二工場は社員が荷役を担っている。
両工場とも賞味期限管理やロット仕分け、バンド掛け等の付帯作業などを柔軟に対応する。「作業効率を落としてでも、荷主の信頼と期待に応えたい」(川村部長)という。
原料倉庫だけで、今後は厳しいとの見通しに立ち、グループの総合力を生かした足回り一体の一貫物流なども手掛けたいとの意気込みも川村部長は示す。
現場は5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)が行き届いている。荷約作業がていねいな点など顧客から高く評価され信頼を得ている。
倉庫・事務所では不必要な照明の消灯をはじめ、空調設備の適正温度設定等で二酸化炭素の排出量削減などに努めている。その結果、平成18年には「グリーン経営認証」を国土交通省の外郭団体から取得した。