極東冷蔵(三重県四日市市)の冷蔵倉庫「霞工場」は、外貨の寄託率がかつて5割程度だったが、最近は約6割へと上がってきた。外貨は製品系が多い。そのため「全体でみると原料系の寄託物が多いが、この数年で製品系の比率が上がってきた」(萩野淳常務)という。収容能力は霞第二工場と合計で収容能力2万2000t超。
霞工場の外観
製品系の荷主には外食チェーンや小売り関係が増えている。
超低温庫(274t)を霞第二工場内に2011年11月に設置したのも「寄託者である外食チェーンの要請に対応するため導入した」(萩野常務)。
製品系の比率は今後さらに高まる見通し。
工場の構造は保管型のため、流通系の寄託が増えると「使い勝手という点では十分とは言えない」(同)が、オペレーションを工夫し対応している。
製品系は原料系よりも容積を取るものの、在庫は年間通じて安定する利点がある。
工場スペースは手狭に感じることが増えてきたため、今後、増築を行う可能性もあるという。
同社は保税上屋・保税倉庫許可、畜産物の輸入検査場所指定(動検)を取得している。
萩野常務は日本がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加したことは同社事業の追い風になると期待している。
萩野常務
「TPP加盟により今後、畜肉の寄託が増えるのではないか。当社拠点は三重県で唯一、動検を有しており、強みになる」と語る。
同社は製氷業として1947年に事業を開始した。顧客ニーズに応えるため冷蔵倉庫業を手掛け始め、現在は冷蔵倉庫事業が主体。当初は営業倉庫を借用していたが、自社倉庫の第1棟を1973年、5232tの規模で竣工した。
以降、寄託需要に応えて増築を重ね、現在では計4棟、計2万2000t超の収容能力を有する三重県有数の冷蔵倉庫会社となった。4棟は「霞工場」(第1棟、第3棟、第4棟)と「霞第二工場」(第2棟)の2つに大きく分かれる。いずれも四日市港コンテナターミナル隣接地で、四日市港、名古屋港、伊勢湾岸・東名阪・新名神自動車道等へのアクセスが良く、立地に恵まれている。
霞工場は3階建てで、エレベータ2基、垂直搬送機4基を備えている。耐震補強工事を2005年11月に行なった。
荷捌き場
事務所に隣接する霞第二工場は、平屋構造、収容能力5168t規模で、55年に竣工した。現在の収容能力は霞工場1万5663t、同第二工場6452t。両工場ともスペースの大半がF級倉庫で、延べ床面積の8〜9割を占める。残りはC級倉庫や荷捌き場。
寄託品の構成比は冷凍水産品40%、冷凍野菜など農産品40%、製品(冷凍食品)15%、畜肉5%。
ドックシェルターを霞工場に1995年、同第二工場には2002年にそれぞれ6基据え付け、荷の品質管理をきちんと保てるよう整備した。
365日稼働で、午前8時から午後4時45分が基本の営業時間。
在庫率は高いが整理整頓されている
荷役作業は、霞工場が委託、霞第二工場は社員が荷役を担っている。両工場とも賞味期限管理やロット仕分け、バンド掛け等の付帯作業などを柔軟に対応する。現場は5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)が行き届いている。荷役作業がていねいな点など、顧客から高く評価され信頼を得ている。
倉庫・事務所では不必要な照明の消灯をはじめ、空調設備の適正温度設定等で二酸化炭素の排出量削減などに努めている。2006年にはグリーン経営認証を取得した。