新設冷蔵倉庫にボイスピックシステム導入

 松村グループ(群馬県高崎市、松村武社長)は本社社屋・関東物流センターを関越道沿いの高崎市新町にこのほど竣工した。新社屋と関東物流センターは旧本社と松村乳業の伊勢崎センター、松村食販(業務用冷凍食品・アイスクリーム卸)の拠点を集約。敷地(4876坪)・建物は物流企業から買収し、センター部分を3温度帯保管仕様に大幅改修した。
 最も広い冷凍倉庫(A棟1階、234坪)に移動ラック(900パレット収容可能)とボイスピッキングシステム(ヴォコレクト製)を初めて導入した。

松村乳業関東物流センターA棟外観

 関東物流センターは松村グループのマザーデポの役割を果たし、安定した商品供給を実現する拠点となる。A〜C棟の3棟で構成。A棟(一部2階建、延床面積1388坪)は最新鋭のマテハン機器を多数導入した流通型の拠点。屋上に来年、太陽光発電システムの導入も予定している。
 B棟(同、945坪)は3温度対応の保管型拠点、C棟(303坪)は常温の倉庫で、天津甘栗製造所も兼ねている。
 A棟2階には、フローズンに特化した流通加工を担う食品加工室を完備した。ここで消費者のニーズに合わせて業務用商品を少量単位やキット商品にリパックする他、フローズン商品をチルドに変更する作業も行なうことで「他社と差別化を図る」(松村武社長)。
 同グループは従来、冷凍食品の扱いは市販用が主体だったが、今後は関東物流センターの機能を生かして業務用の扱いも広げる考え。市販用の冷凍食品を扱う松村フーズの物流センター(群馬県佐波郡玉村町)は「集約する計画はない」(富澤賢二副社長)としている。

最も広い冷凍庫内に移動ラックを導入

 関東物流センターの低温スペース保管能力はF級がA棟2140t、B棟1260t、C級がA棟100tの計3500t。松村フーズの物流センターと比べ3倍強の保管能力を有する。
 松村フーズの松村浩住専務は「新センターは6〜7割稼働でスタートする。再来年までには8〜9割稼働をめざす」と語る。その間、業務用冷凍食品の取り扱い拡大や通販・ギフト・宅配の新規事業の推進を図る。
 最新鋭のA棟には超低温倉庫(マイナス30〜40℃)1室を含むF級設定の冷凍倉庫が4室ある。出荷待機場、C級の冷蔵倉庫、ピッキングルーム、プラットホーム(エアーシェルター3基、ドックシェルター11基)、常温倉庫2室、食品加工室(プラス5〜マイナス25℃)も完備した。「当社グループが必要なことを全て満たす設計を行ない完成させた」(松村社長)。
 最も広い冷凍倉庫(A棟1階、234坪)に移動ラック(900パレット収容可能)とボイスピッキングシステムを初めて導入した。ボイスピッキング(音声認識技術を利用した入出庫作業)システムの構築により、出庫リストを印刷しないペーパーレス化はもちろん、従業員の両手が自由になり作業効率が向上。リードタイムが短縮、音声確認による誤出荷の防止などの利点が生まれるとしている。