食品メーカーの設備投資が相次いでいる。中には200億円規模を設備投資に盛り込むメーカーもあり、食品エンジニアリング業界にとって明るい兆しとなりそうだ。
日本ハムは通期で設備投資額259億円（前年197億円）を計画している。生産設備が102億円、販売・物流設備が50億円、ファーム・処理設備が50億円、海外事業設備が31億円、その他の設備が26億円となっている。
同社は2009年度からスタートさせた「新中期経営計画パート�掘廚�２年目に入っている。この方針を基軸に「国内事業のさらなる強化とグローバル企業への挑戦」を強力に推進していく。
キッコーマンは子会社である日本デルモンテの生産体制の再編を行なう。生産性のより一層の向上を果たすため、５つの生産拠点を群馬工場と長野工場の２拠点体制に再編する。11年までに50億円を投資、年間10億円の経費削減を見込む。
日本デルモンテは群馬工場、長野工場、福島工場、木島平分工場、東北デルモンテの５つの拠点で生産している。群馬工場、長野工場に新たに生産設備を行ない、類似する製造品目の生産を集約することで、群馬工場はトマト調味料を中心とする生産拠点に、長野工場は飲料を中心とする生産拠点に再編し、効率的な生産体制を構築する。
これにより、木島平分工場は10年７月、福島工場は11年９月を目途に生産を中止する。子会社の東北デルモンテも11年３月に生産を中止する。
３工場に勤務する正社員は他の事務所などに配置転換し、雇用確保に努める。工場跡地は売却を検討している。
ハウス食品はルウカレー・レトルト製品製造ライン新設や改造、共同配送事業関連に投資する。投資額はリースを含めて66億円（前年51億円）。
ルウカレーは健康志向に配慮した全品フレッシュアップにより、付加価値と新鮮感を訴求する。需要喚起のため「カレートータルプロモーション」を継続的に推進する。スパイスは取り扱い拡大に取り組み、増収確保に注力する。レトルトカレーは健康感を高め、新たな食スタイルを提案する。「めざめるカラダ朝カレー」でカレーの食シーン拡大・マーケット活性化に注力する。
豆腐事業は東部と中西部の米系マーケットで販路を拡大し、さらに欧州マーケットにも取り組みを強化する。
中国のカレー事業は上海ハウス食品で今年春からルウ・レトルトを統合展開している。マーケティング効果を最大限発揮し、中国でのリーディングカンパニーをめざす。昨年７月に工場移転が完了しており、新工場での本格生産がスタートしている。
雪印メグミルクは今期の設備投資額が192億円（前年87億円）と大幅に増額する。「雪印メグミルクグループ中期経営計画（09年度〜13年度）」を策定しており、「シナジーの創出」と「イノベーションへの挑戦」による成長を基本コンセプトとして、�〇�業基盤の強化、��経営資源の活用拡大、��新規事業領域への展開――の３つのステップで事業戦略に取り組んでいる。
14年３月末までに連結売上高5800億円、連結営業利益200億円、連結ＲＯＡ（対営業利益）5.7％、ＥＢＩＴＤＡ（営業利益＋減価償却費）410億円の経営指標の達成を目指す。
ケンコーマヨネーズは西日本工場と西神戸工場で継続的に投資を行なっていくが、今期の投資額は西日本工場８億円、西神戸工場５億円を見込んでいる。
西日本工場では合理化ラインを導入してドレッシングの生産を開始する。西神戸工場ではタマゴ工場総合化構想に着手する。
海外事業構築のために設置した国際事業推進本部では、成長を続ける中国市場で合弁事業を推進する。中国に次ぐ新たな市場も視野に入れ、海外における原料調達を目的とした調査などに取り組む。
中国事業は100％子会社である健可食品（香港）の増資を台湾・味全食品工業と引き受け、出資比率各50％の合弁会社を香港に設立する。今後は合弁会社を基点として、既存のサラダ製造・販売拠点（広東省東莞）の事業を拡大するのに加え、抗州でマヨネーズ・ドレッシング類の製造・販売拠点が11年度に操業を開始する。14年度末までに中国の売上高は35億円を計画している。