銀イオン水に新型コロナの不活化効果を確認
東京医科歯科大学・宮崎大学との共同研究で実証
新製品の「Ａｇ+ ＣＯＯＬ銀イオン水
業務用500ml」
厨房関連機器メーカーの笹原商事（鹿児島市、笹原憲久社長）は今年夏から発売している除菌・抗菌・消臭スプレー「Ａｇ+ ＣＯＯＬ銀イオン水」の新型コロナウイルスに対する効果を東京医科歯科大学・宮崎大学農学部との共同研究講座で検証し、このほど不活化効果の結果を得た。
それによると、同社の銀イオン水（銀イオン濃度１ppm）をウイルス液に30分間、60分間、120分間感作させることで一定の不活化効果（＞90％減）が認められた。特に120分間の作用では検出限界以下となった。さらに濃度を0.4ppmに調整した銀イオン水でも同様の結果が得られた。
同社は不活化効果が得られたことで、業務用製品のラインナップを拡充し、新たに「業務用500ml」（１ppm）と「詰め替え用20Ｌ」（同）、「業務用噴霧仕様20Ｌ」（0.5ppm）を11月上旬発売開始する。
アルコールや塩素系の消毒液は新型コロナウイルスに対して即効性はあるが、効果は持続しない。一方、銀イオン水はこれらに比べて効果が緩やかに持続するのが大きな特徴で、今回の検証では２時間経てばウイルスを不活化することがわかった。
笹原社長は「１日の作業の終わりに製造現場や更衣室、休憩室の設備に噴霧して帰れば、夜の間に効果を発揮して翌日以降も持続する。塩素系のようにふき取る必要もない。清掃オペレーションを大きく改善できる」と語る。
宮崎大学の山田健太郎准教授が検証
試験は宮崎大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座の山田健太郎准教授が行った。
試験方法の概要は�／祁織灰蹈淵Εぅ襯恒�30μℓ（５×10⁴pfu／mℓ）に銀イオン水270μℓを添加し、混合した。�⊆鴫�10分間、30分間、60分間、120分間作用させた後、900μℓの培地を添加（原液）し、さらに培地で10倍希釈した。��それぞれ細胞に接種し、重曹培地を加えて３日間培養。�ず挧Δ鮴�色してウイルスの感染価を測定した。
試験の結果は下図の通り。銀イオン濃度１ppmと0.4ppmを30分以上感作させることで、ウイルスを示す白い斑点が減少し始め、120分後には斑点が認められないことがわかる。これはアルコールや塩素系に比べて、効果が緩やかに持続する特徴を示している。
銀イオン水は純水に銀イオン（Ａｇ+）が溶けた状態のことで、食品添加物として認可されている。すでに黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌、大腸菌、ポリオウイルスなど多くの細菌・ウイルスに殺菌効果があることが報告されている。
山田健太郎准教授による新型コロナウイルスに対する不活化効果の再検結果、白い点は
ウイルス増殖を示す
東京医科歯科大学とも共同研究
笹原商事が７月に発売した「Ａｇ+ ＣＯＯＬ銀イオン水」は�―�菌、��肌荒れ、�８�臭、�で�中症などに効果が期待できるとして、メディアにも取り上げられた。これまで新型コロナウイルスに対する効果は不確定だったが、今回の検証試験結果で有効性評価が一気に高まった。
東京医科歯科大学とも共同研究を始めており、銀イオン水の効果が近く学会で発表される予定。同社はこの勢いに乗って来年の東京五輪・パラリンピックを視野に、銀イオン水を軸とした新たなビジネスモデルの構築を進めている。
笹原社長は「ＢtoＣからＢtoＢまで様々な商品形態を計画している。エビデンスが正式に取得できた際には、会場・スタジアムをはじめ飲食や宿泊、物流、交通機関などに提案していきたい」と語る。