牛のゲップのメタンガスを抑え、CO2排出を削減

 ニチレイグループのニチレイフレッシュは牛が排出するメタンガスの抑制に取り組んでいる。牛、羊などの反芻動物は、エサを分解・消化する際、胃の中でCO2の21倍もの温室効果があるメタンガスを発生させ、体外に排出する。

 そこでニチレイフレッシュはこれを抑制するという取り組みを行なっているもの。
 牛が食べ物を消化する過程で、ルーメン(1番目の胃)では微生物の働きにより水素を生成する。この水素はメタン細菌によりメタンガスを生成し、ゲップとして体外に排出される。
 そこで、牛に「アマニ油脂肪酸カルシウム」を給与することで、ルーメン内の水素は、「アマニ油脂肪酸カルシウム」中の不飽和脂肪酸と結合して飽和脂肪酸となり、その結果、メタンガスの発生が抑制される、という仕組み。
 国内の農場で動物試験を実施した。
 この結果、地球温暖化の環境影響が小さくなること(LCA手法による)、穀物肥育牛では「オメガバランス」が改善されること、増体効果で肥育期間が短くなり飼料コストが抑えられること――等が確認された。現在、全国各地で「アマニ油脂肪酸カルシウム」を用いた飼育プログラムを展開し、実用化を進めている。

 「アマニ油脂肪酸カルシウム」はα-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)を豊富に含むアマ二の種子から抽出した油とカルシウムを結合させたもの。
 「オメガバランス」は人の体に必要な必須脂肪酸の中でも、特に重要な「オメガ6系脂肪酸」と「オメガ3系脂肪酸」のバランスのこと。