冷凍設備の故障予兆診断、IoT活用で共同実証

  ニチレイロジグループ船橋物流センター

 ニチレイロジグループ本社日立グループはIoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と運転・メンテナンスの効率化に向けた共同実証を9月から開始する。場所はニチレイロジグループの船橋物流センター内。冷凍設備6台に日立が開発した新システムを導入し、稼働データを収集・蓄積、分析する。
 冷凍設備の保守管理は熟練技術者が巡回し、計器などを目で確認しながら運転管理・設定操作を行うのが一般的だが、経験やノウハウをいかに継承していくかが課題としてある。突発的な故障の回避、省エネルギーやメンテナンスコストの低減なども求められる。
 両社は2017年から検討を進めてきた結果、IoT技術を活用したシステム開発に至った。今回の共同実証は日立のIoTプラットフォーム「Lumada」のコアソリューションである統合エネルギー・設備マネジメントサービスをベースに、冷凍設備の各種センサーから収集・分析したビッグデータをクラウドに蓄積する。この蓄積データをもとに音解析技術、さらに日立アプライアンスが提供する予兆診断技術を組みわせることで、早期に故障の予兆を検出する。
 エネルギー消費の見える化と運用改善についても分析できるため、冷凍設備の高効率運転を支援し、CO2削減による環境負荷低減も実現する。故障予兆に基づいた適正なタイミングで予防保全も可能となり、メンテナンスの効率化、熟練技術者不足の課題解決に貢献する。
 共同実証前のシミュレーションでは運用・メンテナンスコストが約25%低減できた。ニチレイロジグループは共同実証で成果が得られれば、国内拠点の約140カ所、約870ある冷凍設備で2019年度から導入を進める。

     故障予兆診断の共同実証を行う冷凍設備