熊本の鯨加工、震災乗り越え本格稼働

 4月の熊本地震で甚大な被害を受けた鯨の加工メーカー、マルホ(熊本市、本田司社長)が本格稼働を再開した。「全国からの真心からのご支援に対し、鯨の販促でお応えしたい」と、一日も早い完全復興をめざしている。
 震災後は工場の稼働を停止したため、鯨製品が特に売れるゴールデンウィーク期間中に納品遅れが発生。「お客様には大変なご迷惑をお掛けしたが、多くの方々からのご支援が励みとなった。今後『熊本復興』の旗印の下、新しい南極海捕鯨科学調査の再開と合わせ、5月中の完全復興を目指し、全従業員が一丸となって進む」(本田社長)と決意している。
 事業全般を担当する山口輝彦常務も「建屋と設備は被害を受けたが、社員が無事だったのが何より。18日以降は休日返上。5月5日には本稼働にようやくメドがついた。本格的な復興まではまだ時間を要すると思うが、鯨業界の発展のためにも、復興への歩みを止めるわけにはいかない」と語っている。
 同社は1919年創業。90年以上の歴史を持つ水産加工の老舗で、水産庁が南極海や北西太平洋で実施している鯨類捕獲調査事業よる副産物(冷凍鯨肉)を加工原料に、さらし鯨や鯨刺し身、ベーコン、さえずり(鯨の舌)など、様々な鯨加工品を製造している。今回の地震により建屋と設備は一部損壊したが、幸い従業員は全員無事だった。
 大日本水産会のHACCP認証を受けているため、断水後の水質や製造工程確認の合格判定を決定するのに時間を要したものの、チームによる社内検証を実施することで、いち早く再開にこぎ着けた。

本格再開めざす熊本のマルホ