敷地面積に制約があるため、コンパクトな工場を作り上げることに苦心した。１つの事例として、倉庫は最小限の広さとし、現場のすぐそばに設置することとした。旧工場は継ぎ足しを繰り返したため、低温倉庫や資材倉庫が無計画に点在していた。生産品目の種類も多く、在庫管理は時間を要し、また、生産に必要な資材や原料を倉庫に取りに行く運搬作業が発生していた。
これらのムダの気付きから新工場を設計するに当たり、倉庫のコンセプトは狭く・近くとした。。食肉原料は隣にあったグループの冷凍倉庫に預け、工場には調温室だけにし、１〜２日分の在庫にした。生パン粉の低温倉庫はパン粉付け機（ブレッター）のすぐそばに設置し、毎日搬入することにした。調味料、香辛料などの副原料はそれらの秤量・調合室のそばに配置し、運搬の無駄を排除した。倉庫は狭くなったので余分な量は在庫できず、ジャストインタイムに近い発注に現場の担当者は工夫した。
その結果、逆に在庫の見える化が実現し、発注、在庫管理が正確になり、在庫の無駄が減少した。チキン加工品に供するブロイラー原料はグループの冷凍倉庫が調温、解凍機能を持つようになり、工場へは当日必要な量の調温済原料が搬入されるまでに進化した。
製品倉庫は２直目の生産量のストックが保管出来るスペースでだった。１直目の製品はただちに冷凍工場に搬入される。従来より敷地面積は22.5％減に、建築面積は31.5％減、延床面積は53.7％減にそれぞれ縮小し、この結果、生産能力は75％にスリム化して、駆逐艦のような戦闘力を持つイメージの工場となった。