職場環境を改善、受注増に対応
矢野特殊自動車 本社工場

矢野社長(中央)、佐野進治取締役(右)、三丸本部長

 車両架装メーカーの矢野特殊自動車(矢野彰一社長)は、大型冷凍ウイング車やフードローダー(機内食積載車両)の受注が大幅に増えている。また空調を工場に新たに導入して、職場環境を改善した上で、夏季の減産を取りやめ、受注増に対応している。

 大型冷凍ウイング車の今期受注が前年比37.2%増と大幅に増えている。同社オリジナルの冷凍ウイング車「冷食ウイングXF」は気密性が高い。
 庫内をマイナス25℃に冷却するまでに要する時間は、従来車両が4時間15分のところ、冷食ウイングXFは3時間35分と40分も短い。冷食ウイングXFには菱重コールドチェーン製の冷凍機を採用している。
大型冷凍車の今期の受注状況は前年比12.7%減(業界平均13.7%減)と昨年の大幅増の反動が来たが、業界平均は上回っている。
 中型冷凍車は同社方針で受注を減らしており、今期は前年比31.1%減。

冷凍車の容積拡大で輸送効率アップ

 大型冷凍ウイング車や大型冷凍車の荷台の容積を増やす改良を進め、輸送効率を高めてドライバー不足問題の解消につなげている。
 同社オリジナルの大型冷凍車「PLUS2(プラスツー)」はプラス2枚分のパレットスペースを確保し、パレット18枚積みの実現により輸送効率向上に貢献している。大手低温物流企業は大型冷凍車を「PLUS2」に順次切り替えている。

             製造中の大型冷凍ウイング車

五輪特需でフードローダーの注文大幅増

 フードローダー(機内食積載車両)の受注が昨年はなかったが、今年に入ってからANA系とJAL系のケータリングサービス会社から計17台を受注している。
 三丸和也技術本部長は「フードローダーの受注は2週間に1台のペース。来年の東京五輪に備えたオリンピック特需と捉えている」と語っている。
 同社の開発力を支持するユーザーは広く、大型冷凍車や大型冷凍ウイング車、フードローダー、まぐろ運搬用の超低温輸送車など、様々な車両架装を受注しており工場はフル稼働している。受注から納車までの期間は平均7〜8カ月。昨年までは1年以上だったが改善した。

              ANA系のフードローダー

工場に空調を導入、夏季も減産せず

 働き方改革の一環として、空調を工場に導入した。夏季は工場内温度が上がるため、これまでは減産することで従業員の体調管理につなげていたが、空調により24度Cに設定し、夏季の減産を取りやめ、受注増に対応している。
 三丸部長は「空調を入れたことで減産しない。その効果を検証する」と説明している。

                  本社工場内