タイのN&Nフーズ、えびかつライン導入

 マルハニチログループのN&Nフーズ(タイ国サムットサコーン県、海部和史社長)は水産・畜肉系の2工場で農畜水産すべての原料を使った冷凍食品が生産できる。「タイではえびに優位性がある」(海部社長)ため、8月から1億5000万円を投じたえびカツラインを新たに稼働した。
 型押し成形機を入れ、これまで手作業だった打ち粉・バッター・パン粉付けなどをサン・プラント工業製の機器を導入して自動化した。仕上げの凍結は前川製作所製のスチールベルトフリーザーで上下から直接冷気を当てる。今秋の新商品として「シェフのえびカツ50」、「ランチDEえびカツ35」、「ぜいたく棒えびカツ120」を生産している。手作業で毎時4000個だった生産能力は5〜6倍に伸びた。
 年末に大量消費されるかき揚げも主力品の1つ。9〜11月中旬の短期間で一気に生産する。そのため他の製品を前倒しで生産するため、毎年6月ごろからかき揚げの生産に向けて現場は慌ただしくなるという。

1つ1つ手で巻いている枝豆ロール。自動化するのが目標

 居酒屋向けに供給している春巻の皮でむき枝豆を巻いた「枝豆ロール」も安定した需要がある。ワーカーが手作業で1つ1つ枝豆を巻いている。N&Nフーズの立木知之アシスタントゼネラルマネージャーは「一度、機械化を試みたが、うまくいかなかった。もう一度挑戦したい」と語っている。
 たこ焼きも手作業で1つ1つ焼く。鉄板からの熱気をやわらげるため、ワーカーにエアーを送る管を取り付けている。たこ焼きは最大で日産20万個が可能。機械化すれば効率は良くなるが、「たこ焼きの受注はゼロか100かで安定していない。機械を導入するにはリスクが大きい」という。

新たに導入した残骨検査装置

 原料のたこは雑食性のため、異物が多く、2度に渡って手で触ってチェックしていたが、システムスクエアの残骨検査装置を導入し、人の手によるチェックを1回に減らした。省人化を図ると同時に、検査精度を向上した。同様の機器はマルハニチログループ全体で導入を進めている。
 同社製品は90%が日本向けのため、人件費増を価格転嫁するのが容易ではないため「出来栄えが変わらない部分は機械化を進める」(海部社長)考え。