二酸化塩素ガス殺菌消毒サービスを開始

 高砂熱学工業はホルマリンガス殺菌消毒の代替技術として、二酸化塩素ガス殺菌消毒技術を使ったサービスを4月1日から開始する。殺菌消毒効果に優れ、人体への発がん性がみられない二酸化塩素ガス利用の効果と安全性を実証した。食品工場や製薬工場、バイオ研究施設などに提案する。

二酸化塩素ガス発生装置の外観

 同社は亜塩素酸ナトリウムと酸性溶液を反応させて高純度の二酸化塩素ガス発生法の開発に長年取り組み、その要素技術を昨年完成させた。この間、数社の顧客施設でその効果や安全性をフィールド試験により確認したという。
 技術名は「ティエスクロー」。殺菌消毒対象とする空間を密閉し、独自のガス発生システムを用いて300ppm濃度の二酸化塩素ガス空間をつくり、殺菌消毒を行なう。専門技術者が実施することで、作業環境や周辺設備、人体に安全な形で提供する。

 ティエスクローの特徴について同社は次のように説明している。
 (1)安全、短時間で殺菌消毒を行なうことができ、消毒ガス濃度300ppmの場合、3時間の殺菌消毒完了後、1時間程度のガス分解処理(計約4時間)で人体に安全な 0.1ppm以下に到達する。過酸化水素の場合10時間〜1日、ホルマリンの場合2〜3日ほど必要としていた。
 (2)対象空間内の隅々まで殺菌消毒をすることが可能。
 (3)ガスのリークをなくすための目貼りによる、殺菌消毒対象空間以外の安全濃度(0.1ppm)の確保、殺菌消毒対象空間内のガス濃度を維持する。
 (4)装置や室内構成材に対する腐食が小さく、腐食や劣化が懸念される箇所には適切な養生を実施できる。

米国では実績ある技術

装置の説明をする生産技術部の阪田総一郎課長

 国内では二酸化塩素ガスを用いた他の殺菌消毒技術は普及していないが、米国では民生用産業分野で二酸化塩素ガス殺菌消毒が幅広く利用されているという。ただし、米国の技術は毒性の高い塩素ガスボンベを搬入して現場で二酸化塩素ガスを発生させる方法であり、取り扱い資格が必要。それに対し同社の技術は作業性、安全性の面で多くの利点があることを訴求する。
 2013年度中にユーザーの建物設備への組込可能なシステム開発を行ない、2014年度から販売に着手するという。同サービス業務と設備組込システムの販売とを合わせ、2015年までに年間売上高6億円をめざす。

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2013年3月20日号掲載