カメラ・センサー＋入場管理でディフェンス
従業員の不満なくすコミュニケーション、異常はすぐ報告
(株)ハチカン（青森県八戸市） ＞３＜
ニッスイグループのハチカンでは工場管理で重要度が高まっている「フードディフェンス」に対し、様々な取り組みを実施している。
ポイントは、従業員とのコミュニケーション、新規雇用者対応、入場管理の３点。
１）従業員とのコミュニケーションのため
� 屬△い気庁裡錙ィ嘘萋亜廚鮗損椶靴討い襦８澆い紡腓�な声で挨拶することで、明るい職場作りにつなげる。ナンバーワンは「どこにも負けない、という当社と従業員の意志の表れ」（同社）。全従業員がめざすナンバーワンの目標を決めており、ネームプレートには「私は〇〇のナンバーワンをめざします」と明記している。
�∨萋�の現場朝礼をラインごとに実施している。ここで互いに顔を合わせて確認する。
�Ａ澗猟�礼は毎月１回実施。全従業員が参加する。ここで安全、品質、環境対応などに対する経営方針などを伝え、確認する。
�し納�板、デジタルサイネージの活用。伝えるべき事項は掲示板に張り出し、館内テレビを使って作業ルールなどを紹介している。（デジタルサイネージは画像、動画などをディスプレイで示し、情報を配信すること）
２）新規雇用者対策
�／卦�雇用の予定者には、運転免許証、年金手帳、住基登録カードなどで本人確認。
�∈陵兒�には「食品工場で働く場合の安全、衛生、マナー」について指導する。
��新人はマスクで色分けし、誰でもフォローできる体制。
３）許可者以外は入場禁止
�，�客様、工事業者、納品業者など外来者の入場は制限し、管理する。
��入場を記録し、持ち込み品を点検。工場に入場する場合は服装を点検する。
��従業員には社員証を配布し、入退場を管理。
マスク、帽子で「聞くべき人」、「注意を払うべき人」を見える化
ハチカン）本社・冷食工場棟の入り口
従業員のマスクは３種類に分けている。これにより、何かあったら「聞くべき」人と、周囲が「注意を払う」人が一目でわかる。
入社１カ月未満は「ピンク」。この従業員には「一人ぼっちにしないよう、常に周囲から声をかけるようにしている」(同社)。
教育者（熟練作業者）は「ブルー」。現場で何か困ったときなどは教育者に聞く。
一般社員は「白」マスク。
帽子のライン色でも色分けし、見える化している。
一般社員と契約社員は「ラインなし」。
１年以上の経験がある派遣社員は「黒」。
雇用１年未満の新人社員と契約、派遣社員は「赤」。
契約社員、派遣社員の中でライン担当者（責任者）は「ブルー」。
製造担当社員の現場責任者は「グリーン」。
マスクと帽子の色により、熟練度、注意をはらうべき人などがわかる。
施錠、薬剤管理、不要物の持ち込み禁止
フードディフェンスは次の対応策も実施している。
１）施錠管理（センサー）
�〇楡澆瞭�り口、資材搬入口、貯水槽、薬剤保管庫、小麦サイロ、食油タンク、製品搬出口、製品保管庫は施錠し、センサーでチェックしている。
��鍵の持ち出しは記録を残す。保管品の入出庫も記録する。
２）薬剤使用管理
�〔�剤保管庫は施錠し、使用記録を残すことで不正使用がないことを確認。
�◆岼多乾�メラ」を設置し、画像は保存。
３）不要物の持ち込み禁止
�〆邏班�は会社がクリーニングし、状態を見て交換する。退職時には回収する。
�∈邏班�にはポケットをつけていない。
ハチカン）前方左から磯島一夫冷凍食品事業部工場長、大畑義信常務、小笠原一芳常務と、
後方左から、同社を視察に訪れた日本水産の大木伸介取締役執行役員（食品事業執行）、
山橋英一郎執行役員業務用食品部長、同社内では常にネット着用が義務付けられている
「安心カメラ」は冷食70台、常温25台
「安心カメラ」を冷食工場に70台、常温工場に25台設置しており、記録画像は保管している。カメラが記録しているポイントは次の６カ所。
�。慇�処理、�■慇�、金検排除品の取り扱い、��製造工程、�ぬ�品保管庫、�ス�場外周、�ζ�場口
フードディフェンス対策に取り組むに当たり、ハチカンでは何か事故、事件が発生すると次の様な事態になることを従業員に伝え、コミュニケーションを図っている。
１）お客様からの信用を大きく失墜する
２）製品回収や保障のため、莫大な費用が発生する
３）工場でつくるものがなくなる
４）雇用が維持できなくなる
そこで「みんなでやる防御策」として、次のポイントを掲げている。
１）異常を発見した時はすぐに報告する
�，い弔皺燭發覆い箸海蹐法�見たこともないものが放置されている
��見たことのない人がうろうろしている（新人はしっかり紹介する）
��いつもと違う臭いがする
�ぜ永婿イ里覆と樟宿覆�置かれている
２）持ち込み禁止物のルール
�‐貽發砲六篳�を持ち込まない、持ち込ませない
�∋�ち込み禁止物を掲示し、周知徹底
３）薬剤の管理
�〇藩兒�の濃度に希釈した薬剤以外は製造室に置かない
��希釈前の薬剤は保管庫で管理する
４）現状の管理で対応可能なこと
�‘�場時、専任者が行うローラー掛けの際、作業服の中に不要物が忍ばせてあれば、ローラーの動きが不自然になる
��30分ごとのローラー掛けでも、入場時と同様に確認できる
５）コミュニケーション
� 屬△い気張淵鵐弌璽錺鶻萋亜�
�◆嵬椣柁◆廚寮瀉�
�４覿販冤�ホットライン（日水グループ全体で）
�ず陵兒�の面接、入社後の教育
�ド従汗�度（会社に貢献した個人、グループを四半期ごとに表彰している）
地域貢献の一環として、工場見学を積極的に受け入れている。一般見学者は事故防止や衛生管理などのため、専用通路から見学する。
昨年度は約140名の見学者を受け入れた。ケンタッキー州（米国）の高校生をはじめ、チェコ大使館、八戸市立根岸小学校ＰＴＡ、冷食技術研究会の「親子工場見学会」、おいらせ町立甲洋小学校、青森県農産工業技術研究所などが含まれる。
今年は７月に県立百石高校から見学に来た。今後、八戸第一養護学校、県「障害者雇用優良事業所」見学会、ほうりん保育園、県立八戸水産高校などからの見学を受け入れる予定。
障害者雇用に積極的、帽子で認識
ハチカンは障害者雇用に積極的に取り組んでいる。
2010年９月から実習、採用を開始。ハローワーク、八戸第二養護学校、就業支援センターみなとなどの関係機関の支援を得て、スタートした。
地域企業として障害者に雇用の場を提供する、企業に求められる障害者雇用率を達成するというコンプライアンス・ＣＳＲの上の責任を果たすのが目的。
障害者の法定雇用者数は従業員数×2.0％。
昨年３月時点で従業員は580名だったので、法定雇用数は11名だが、実際の障害者の雇用は16名でクリア。今年は６月時点の従業員が650名に増えており、法定では13名の雇用を求められるが、実際の障害者の雇用は21名でクリアしており、前年より５名増えた。
こうした取り組みにより、同社は青森県、青森労働局、生活支援センター等が主催、共催する「障害者雇用優良事業所」として見学・意見交換会の開催企業に選ばれた。
雇用に当たっては「責任をもって一生面倒を見るのが義務」という覚悟で受け入れ、入社後の受け入れ態勢も充実を図っている。
さらに経験豊富な高齢者を「世話役」と位置づけ、高齢者の継続雇用に取り組んでいる。
障害者が現場で働きやすい環境を整えるため、帽子にピンクの二重線を入れ、周囲が認識しやすいように改善した。
生産面では日水グループで最大の冷食生産量を誇り、多品種を揚げ・蒸し・焼きと幅広く対応。さらに、環境、フードディフェンス、コミュニケーション、障害者雇用などにも取り組み、グループ内はもちろん、地域にも信頼される企業に成長したハチカン。本州北端の八戸から、強い存在感を示している。
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