日本に“逆上陸”も!? 易開封・再封の袋
三和自動機製作所 「ユニテープ貼付装置」
(Japan Pack Awards2011 日本国際包装機械展実行委員長賞 受賞機種)

 開発者の思惑と違ったところで反響を受けるときがある。三和自動機製作所の「ユニテープ貼付装置」もその1つかもしれない。“簡単な開封”と“簡単な再封”を狙った袋形態。意外なところから引き合いの声があがってきた。

写真上から、密封状態、開封状態、再封状態

 「パウチに貼付されたテープを剥がして中身を取り出し、その後はテープを剥がした後部分の粘着力で、半折にすれば再封が可能。このような易開封・再封の便益性を消費者に提供するパウチをピロー包装機のライン上で量産できる仕組みが完成しました」(三輪忠史営業部長)。
 持ち歩きながら食べる“おつまみ”などが入っている小袋(ピロー袋・袋幅60mm程度)では、開封後1回では全部消費できないときがある。従来ならば、ポケットやハンドバックの中にしまうと、袋の口がすでに開いているので、内容物が袋の外へ出て散らばってしまう。
 しかし、「ユニテープ貼付袋」は指でつまんでテープを剥がすことで、横方向に簡単に開封でき、中身を取り出すことができる。その際はもちろん、ハサミなどを使わなくても、極端に力を入れる必要もない。また、テープを剥がした後の部分に多少の粘着力が残るように工夫を施し、袋の開口側を“半折”してくっつけるだけで、中身が出てこない程度の“再封”性を持たせている。
 “開封”そのものも、ピロー袋の場合、エンドシール(横シール)に開封用ノッチを入れることはできるが、この場合、袋の「タテ」方向に開封することになってしまい、決して中身を取り出しやすい開封にはならない。また、エンドシール自体をはがして口を“ポッカリ”開けようとすると、相当強い力で袋を左右に引き剥がさなければならなかった。
 強い力を必要とせず、開けた後は中身が残っていれば袋の端を折るだけで済む。「“とりあえず内容物がこぼれ出てこない程度”をコンセプトに、その再封性を発揮します」と三輪営業部長は語る。

10年目に“きっかけ”が

ユニテープ貼付袋を手にする
三輪部長(左)と営業部の生野義揚氏

 実はこのユニテープ貼付袋、開発の発端は10年以上前にさかのぼるという。「それまで鳴かず飛ばずの日々が続いていました」と打ち明ける。「再封できるという利点を“大袋”にしか考えていませんでした」と続ける。
 従来から同社が手がけている縦ピロー包装機は、菓子やパンなどと違い、冷凍食品やハム・ソーなど、いわゆる“ウェット”なものに強い。そこで、この新形態の袋も当初は鶏の唐揚げなどをターゲットとし、小袋ではない“大きめの袋”を想定して、その日のおかずに使用しなかったものを袋に入れてテープで留め、冷凍庫(冷蔵庫)に保存しておくという利用法で訴求していた。
 しかし、ユーザー側は同社ですでに手がけていた“チャック式”の袋には反応を示したものの、この“テープ式”には関心を持たなかった。
 「この10年間で、装置を3世代ほど作ってみましたが、反響には乏しかったですね。機械の完成度というのは、“この機械はおもしろい”“ここをこうしてほしい”などユーザーが反応を示すことによって、どんどん鍛えられ、よりよいものとなります。しかし、それがありませんでした」(三輪部長)。苦労の日々が続いた。

 しかし、昨年意外なところから声がかかってきた。アメリカの大手チョコレートメーカーがそれだった。
 持ち歩きながら食べるチョコレートなどが入っている小袋では、開封後1回では全部消費できないときがある。ポケットやハンドバックの中にしまうと、袋の口がすでに開いているので、内容物が袋の外へ出て散らばってしまう――それを解消できる機能がユニテープ装置にはあると、チョコレートメーカーは期待した。
 「大袋しか考えていなかったため、まさか小袋で反応があるとは思ってもいませんでした。まさにユーザーに教えてもらった感がありますね」(同)。
 この“好感触”をもとに同社は方針転換。小袋用途をターゲットに、おつまみやピーナッツなど日本のユーザーにも積極的に呼びかける。柿の種などにも可能性が広がる。
 「アメリカでの話はまだ始まったばかり。日本でも本格化はこれから。このチョコレートメーカーのきっかけを確かなものにして、普及の第1歩としたいですね。当初、日本ではよい反応はもらえませんでした。それが、アメリカで実績をあげようとしています。かつての“ウォークマン”のように、アメリカで人気を得て、日本に再び戻ってくるように今年が勝負の年となりそうです」(同)。