冷蔵倉庫に自動運転フォーク導入
「検証の満足度は100%」

 ニチレイロジグループ本社は同業他社に先駆け、「冷凍冷蔵対応自動運転フォークリフト」をロジスティクス・ネットワーク品川物流センターに昨年9月下旬から試験導入している。省人化が最終目標。実験段階だが、作業人口の効率化など、効果が表れつつあるという。

 「検証の満足度は100%」。ニチレイロジグループは冷凍冷蔵対応自動運転フォークリフトを高く評価する。検証段階とはいえ、日常業務に使用している。

 「一般論として、冷凍環境下の厳しい現場は人手不足。自動運転フォークを導入すると人手不足の緩和につながる」と同社は捉えている。
 フォークを動かすのはパソコン操作であるため、運転免許を必要としない点も導入の利点になる。

      トヨタL&F製の自動運転フォークリフト「Rinova AGF」

庫内の結露による影響を検証中

 自動運転フォークリフトは豊田自動織機(トヨタL&F)製。ニチレイロジグループが豊田自動織機と協同し自動化の実験を始めた。
 「省人化に向けてフォーク自動化の試みを開始した。既存倉庫全体を無人化することはできないが、荷役作業の一部から無人化を始めることはできる」(同社)。
 磁気誘導により無人でも動く。

 品川物流センターの荷捌き場は7℃設定。−25℃設定の冷凍庫と荷捌き場を行き来すると、急な温度変化で結露や靄(もや)が発生する。

 「結露や靄が機台や走行に及ぼす影響がないか等を検証している。今のところ想像以上に動作がスムーズ。ただし湿度が高まる春以降、センサー類の動きを確認する必要がある」(同社)。

 自動運転フォークリフトは、「5分おきに1パレットを格納する」など一定の動作を長時間繰り返す等の計画性の高い業務が得意。中でも大口貨物の取扱いに向いている。一方で小口貨物を短時間で複雑に捌く等の作業には向いていない。

 品川物流センターは大口貨物の取扱いを担っており、自動運転フォークリフト実用化検証の現場に選んだという。

女性社員が「キララ」と命名

 品川物流センターに先立ち、ニチレイロジグループ子会社、キョクレイの大黒物流センター(神奈川県横浜市)で、冷蔵(2℃)の環境下における自動運転フォークリフトの実証実験を2018年に開始し、有効性を確認した。その機台をベースに、センサー類等の改良を行い冷凍環境対応とした。

 キョクレイに導入した自動運転フォークは無人専用だが、品川物流センターの機台は無人・有人の切り替えができる点も異なる。
 機台の製品名はRinova(リノバ)AGF。AGFは自動運転フォークリフトを表す。

 製品名とは別に、機台には「キララ」と命名した。キララと命名したのは女性社員という。「自動運転の機械は無味乾燥なもの。愛着が出るよう名付けた。次世代を担うイメージが『キララ』の由来」(同社)。

 「キララ」は期待に応える成果を発揮し始めた。実証実験は9月までの予定だが、一定評価をクリアすれば、実導入に踏み切る。さらに他の拠点にも導入を前向きに検討するという。人手不足の影響も深刻化する中、実証実験と並行して導入先選定を進め、早期に導入判断を行う考え。

 ニチレイロジグループは国内外に拠点があるが、現段階では自動運転フォークを日本国内のみで導入を予定している。

 海外での導入については「現地の外部環境やメンテナンス対応の必要性も考慮しながら、慎重に検討していきたい」と同社は説明している。

         ロジスティクス・ネットワーク品川物流センター