防虫防じんの定番、ビニールカーテンの施工許可を取得
ワンストップ対応を新たな強みに
石塚�蝓‖緝充萃�役社長 熊谷弘司氏（上）
熊谷社長
食品工場や物流倉庫などの防虫防じん、節電、防炎対策に欠かせないビニールカーテンの製造販売を手がける石塚（東京都千代田区）は施工（一般建設業）の許可を昨年取得した。分業制が当たり前の業界にあって、現場の要望に合わせたビニールの素材選びから加工、施工まで一気通貫で行えるのは同社だけ。三代目社長の熊谷弘司氏は「ワンストップ対応を強みに導入先をさらに広げていく」と力強い。
――1955年の創業当初はプラスチック材料の卸売業。ビニールカーテンはいつ頃から？
熊谷 父が二代目社長だった1980年代にはカーテン材料の卸売や加工販売を手がけていました。施工までワンストップで対応しようと決めて、免許を取得したのは昨年（22年）です。これによって大型の案件も受注できるようになりました。
――施工まで行う会社は珍しい。
熊谷 食品工場の多くは機械工具商社や環境衛生会社などを介して張り替えを依頼するケースが多く、これまでも機械工具商社への依頼が回りまわって当社に来ることはよくありました。
ビニール素材の卸売りや製品加工を手がける専門会社が施工まで丸ごと請け負うのは当社だけでしょう。受注から施工までのリードタイム短縮を実現できますし、お客様からは発注作業の負担軽減につながるとの評価をいただいております。
――食品工場などはビニールカーテンが異物混入対策に欠かせない。
熊谷 異物混入で最も多いのは虫です。防虫のニーズは非常に高く、夏場は需要が伸びます。特に近年は「電気代が高騰しているのでビニールカーテンを取り付けたい」という相談が増え、今年１〜８月には昨年比で5.4倍に増加しました。
――これまでの導入実績は？
熊谷 あらゆる業種に採用され、導入先は1000カ所を超えます。そのうち食品工場は全体の約15％、冷凍倉庫を含めた物流施設は約10％です。今後はワンストップ対応を強みに導入先をさらに広げていきます。
機能性が進化、火が貫通しない不燃タイプも
――昔と比べて機能性は進化している？
熊谷 当社はカーテンタイプとアコーディオンタイプ、のれんタイプの３種類を取り扱っていますが、抗ウイルスや抗菌、帯電防止などの機能を兼ね備えたものがあります。最近は消防法の規制強化に対応したハイスペックな製品も出ています。
――どういう製品？
熊谷 一般的に食品工場や倉庫では防炎性能を持ったビニールカーテンを使用する義務があります。これは火を長時間当て続けると燃えて貫通しますが、着火しただけでは自然に消えます。つまり燃え広がりにくい。
一方で「不燃」というものがあります。これはカーテン内部にガラスクロスを使っているため、火を一定時間当て続けても貫通することはなく、火災発生時に避難時間を確保することができます。防炎か不燃かは消防署が判断しますが、粉物を扱う食品工場からは「粉じん爆発」を防ぐためとして不燃を指定されることが多いです。
（次号につづく）
（くまがい・ひろし）東京理科大学理工学部を卒業後、ゴム・プラスチック素材開発大手のアキレスで４年間修業。2010年石塚入社。取締役から常務、専務を経て18年社長就任。取締役当時、文具雑貨の取引先の新規開拓を社内に提案するも「結果を出してから物を言え」とあしらわれ一念発起。中国の工場に寝泊まりするなどして顧客の要望に応え、取引先６社を開拓。古株の幹部社員らにも認められるようになった経験を持つ。常務時代には人事評価基準を改善。現在も社員が能力を発揮しやすい環境づくりに向けて社内改革を進めている。22年度千代田ビジネス大賞受賞。社員の待遇改善や無借金経営、社会貢献活動などが評価された。1982年５月東京都生まれ、41歳。