“こだわり商品”でユーザーの支持高める
シェフの技術を再現する「オマールソースベース」など
キユーピーグループ コープ食品 東北工場（福島市）＜上＞
コープ食品東北工場
キユーピーの100％出資生産子会社、コープ食品��（東京都調布市、富田仁一社長）が福島市に置く東北工場(小畑和之取締役工場長)は、主力カテゴリーとして�‘Δ覆匹稜聖坐悩猊福↓⇔篥燹屬瓦蹐辰伐娘臓廛轡蝓璽困覆匹離妊供璽箸函↓�オマールえびから抽出した冷凍「オマールソースベース」などの調理品の３分野を主体に、合わせて年間約250アイテムを生産し、キユーピーのフードサービス本部（ＦＳ本部）向けやＰＢ商品として供給している。
2011年の東日本大震災で直接、間接の影響を受け、同年度の売上げは前年比２割減と大幅な減収を余儀なくされたが、「強みを活かしきる」（富田社長）考えに基づき、シェフの調理技術を再現するなど“こだわり商品”を強化し続けた結果、売上げは大震災から３年後の2014年度で震災前の売上げを上回り、その後も安定した売上げを維持している。
オマールソース
ベース
地元福島で収穫される新鮮で豊富な果物、農作物などの加工を元々得意としているが、ホテルのシェフが手作りする工程から学んだ“手作り再現技術”を活かし、最近では「オマールソースベース」などにも領域を広げ、成功している。
オマールソースベースはカナダから輸入したオマールえびのヘッド（頭）をしっかり炒めてうま味と香りを引き出し、白ワイン・トマトペースト等を加えて臭みを取る。これに自家製ヒュメ・ド・ポワソン（魚介スープ）を加えて魚のうま味をプラスし、製品化している。カナダでえびの身とヘッドを切り離す際、えび味噌をヘッドに残して調達しているのがうま味のポイント。
オマールソースベースの抽出工程
しかもえびのヘッドは春に漁獲したものだけを使うこだわり。秋のえびは脱皮した後なのでうま味が春より劣り、殻も柔らかいので味の乗りが良くない。同社では念のため秋のえびヘッドを取り寄せてオマールソースを抽出してみたが「まったく違った味に仕上がり、使えなかった」（同社業務課・永岡裕志課長）という。
えびエキスの抽出に１日、ヒュメ・ド・ポワソンの仕上げに１日、ソースベースに製品化するのに１日、計３日の手間をかけて仕上げている。えびエキスの抽出は１釜400�圓離法璽澄爾縫悒奪�100�圓反紊覆匹鯑�れて加熱し、約120�圓里┐咼┘�スを取り出す。
「ごろっと果実」には冷凍原料を活用して事業拡大
キユーピーの業務用（ＦＳ向け）冷凍「ごろっと果実」シリーズもコープ食品東北工場で生産する人気商品。イチゴ、マンゴーなどのフルーツがごろごろ入っており、フルーツソースにも果実の味を加えて固形分との一体感のある冷凍フルーツ。アイスクリーム、ヨーグルト、ケーキ等のデザートに使うことで付加価値の高いメニューに仕上がる。
ごろっと果実ミックスベリー
フルーツ類は従来缶詰を手掛けていたが、ＩＱＦ（バラ凍結）原料を使い冷凍フルーツソースにシフトしたことにより「良いことづくめの商品に仕上がった」（永岡課長）。
ＩＱＦの冷凍原料を使うことで素材のフレッシュ感が増し、ソースに果実の味を加えることで果実の固形分との一体感が生まれた。調達価格も安定し、必要量だけ使える。
イチゴ、マンゴーなどの冷凍原料をコンピュータスケールで小袋に充てんし、ソースを加えてスチーム加熱、殺菌する。「加工用に仕入れた原料なのでフルーツをそのまま食べてもおいしくないが、果実の味を加えたソースを加えて加熱することで原料フルーツにソースの味が染み込み、非常においしいフルーツソースになる」（同）という。
１袋200g。流水、または冷蔵庫で解凍してそのまま使える。
ごろっと果実の品揃えは�，い舛瓦離宗璽后↓▲潺奪�スベリーのソース、��ブルーベリーのソース、�い蠅鵑瓦離宗璽后↓ゥ泪鵐粥爾離宗璽后↓ε蹐離宗璽后宗修藩諭垢平Ч腓い離侫襦璽張宗璽垢鯣�売していたが「緑系のソースが欲しいというユーザーの要望に応え」（永岡課長）、��洋なしのソースを加えて現在は７アイテム。
ＩＱＦ原料は目視で異物等を選別しにくいことがよくあるため、光を上下から当てて選別する。金検、Ｘ線検知器も使うが、さらにマグネットで金属異物をチェックしている。
こうした農産品の加工技術や積極的な開発受託とキユーピーの業務用販売網を使った取り組みにより、コープ東北のデザート関連売上げは2015年の7.8億円が17年は8.7億円に拡大した。「デザートは流行の最先端」(同社)と捉えており、今後も強化する考え。
コープ食品の東北工場全体の前期売上げは39億1400万円。九州工場（熊本市）は31億8800万円。同社は1961年（昭和36年）設立した。