食用油高騰でろ過機が4000台突破
従業員を重労働・危険作業から解放

 厨房関連機器メーカーのASPiA(=アスピア、鹿児島市、笹原憲久社長)は自社ブランド「ECOSAS」シリーズから主力製品の「油ろ過機」や「グリストラップ改善セット」、「銀イオン水 CERAS(セラス)」などを出品する。さらに、業務用老舗卸のアクト中食(広島市、平岩由紀雄社長)と共同開発したアルコール急速凍結機「ACT−H」を初披露し、様々な食材を使った凍結のデモンストレーションを行う。

 会期中は調理場やセントラルキッチン、中小規模の食品工場をターゲットに人手不足解消や作業負担の軽減、経費削減、新事業開発をトータル支援できることをアピールする。

約半年で初期投資を回収

    「ECOSAS油ろ過機」

 主力製品の「油ろ過機」は弁当チェーン最大手のプレナスやJA全農グループなどに導入実績を持つが、最近は業務用食用油の価格上昇を背景に外食大手やスーパーなどからの引き合いが強まっている。出荷台数は累計4000台を突破した。

 東京本社の小林紘士開発企画管理部長は「食用油の値段が昨年比で2倍以上に高騰している。ろ過機の導入費は以前は1年ほどでペイできたが、今は半年で元が取れる」と語る。

 セルロース製不織布と活性炭素材を圧着した独自開発のろ過フィルター(特許取得済み)が油の色やにおいを取り、酸化値を抑える。毎日ろ過することで揚げカスや不純物を除去し、揚げ物のおいしさを維持する。油の劣化を抑えて廃油を減らすため、1カ月あたりの使用量は約30%も削減できるという。

 油槽の清掃作業を簡単に行えることも大きな特長。「油の吐出スピードが他社に比べて圧倒的に速い」(小林部長)ため、通常40分〜1時間かかる清掃作業がわずか5分で終了する。リモコンを業界で初めて標準搭載しており、従来のようにポンプを持ったまま危険な清掃作業をする必要がない。

 熱い油をワンタッチで廃油缶まで移送する「廃油装置」と併用すれば、作業効率の改善のほか、労働災害のリスク回避にもつながる。  

 同時出品する「グリストラップ改善セット」は新素材の化学繊維「マジックファイバー」を使ったグリストラップ(油水分離槽)用の油吸着材・浄化剤。化学物質ゼロの浄化剤とナノ繊維の油吸着材の併用で、油汚れや水質汚濁を大幅に改善する。今回、浄化剤の粒子を微細化して汚泥に密着する表面積を拡大、分解効果をさらに高めた。

ハラル認証取得、中東市場を開拓

 「銀イオン水 CERAS」は東京医科歯科大学宮崎大学との共同研究で新型コロナに対して不活性化効果を持つことが確認された画期的な除菌・抗菌・消臭剤。アルコールが効かないノロウイルスのほか、大腸菌やサルモネラ菌、犬猫の感染症を引き起こすパルボウイルスでも効果が実証された。

  「銀イオン水 CERAS」

 「CERAS」はアルコールや塩素系の消毒液に比べて効果が持続するのが大きな特長。銀イオン水は純水に銀イオン(Ag+)が溶けた状態のことで、食品添加物として認可されているため、安全性も担保している。

 小林部長は「食品工場や飲食店、介護施設などではコロナ対策はアルコール、ノロウイルス対策は塩素系という使い分けが多いが、CERASは1本で二役をこなすことができ、利便性は高い」と強調する。

 有名国立大学の実証によるエビデンスを取得したことで信頼度が増し、容量100mlのスプレータイプは実売13万本を超えた。業務用20Lのバックインボックスも受注が伸びている。

 ハラル認証機関の(一社)ムスリム・プロフェッショナル・ジャパン協会(MPJA)と協業し、中東地域で販売する計画を進めている。近々、国内の製造工場を含めてハラル認証を取得する。

 今年11月にサウジアラビアで開催される「ハラルエキスポ2022」にも出展する予定。アルコール液を含まない消毒剤は現地でニーズが見込まれ、航空会社やホテル、外食店などに売り込む考え。
 国内もインバウンド需要の回復を期待する。

FOOMAで凍結デモ実施

 アルコール急速凍結機は刺身やステーキ、天ぷら、ラーメン、サンドイッチ、スイーツなどあらゆる食品を高品質に凍結する。アクト中食と共同開発した。

 冷却能力は−40℃〜0℃で、凍結スピードは従来のエアブラストに比べて20倍速い。冷凍品質を左右する最大氷結晶生成温度帯(−5℃〜−1℃)を素早く通過させて、食材内部の氷結晶を極小化するため、解凍時のドリップ流出を抑える効果がある。

 本体サイズは幅680mm×奥行755mm×高さ840mmと飲食店の厨房に置けるよう小型化したほか、単相100Vでも使えるようにした。アルコール液量は約20L。1時間あたり約2〜10kgの食材を冷凍できる。
 
 コロナ禍の影響で食材の仕入れ予測が困難になった飲食店が食材を凍結して保管し、来客に合わせて解凍調理すれば食品廃棄ロスを削減することができる。また、店舗のメニューを冷凍食品にして売り出すことも可能。凍結機と冷凍自販機を活用した新規ビジネスをサポートする。

 会期中は様々な食材を使った凍結の実演を行う予定で、飲食店だけでなく、食品メーカーのラボスケールでの試作開発にも使えることをアピールする。

               「アルコール急速凍結機」