野菜の端材をパウダーに再生、商品名は「ぐるりこ」

 フードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN(埼玉県富士見市、加納千裕社長)は自社開発した食品の乾燥・殺菌装置「過熱蒸煎機」で製造する食品パウダーの名称を「ぐるりこ」と命名し、このほど商標出願した。

 ネーミングは同社が循環型のフードサイクル実現をめざしていることに加え、製造工程で原料が装置内をぐるぐると回転する様子をイメージした「ぐるり」の言葉に、Collaborate、Cooperation、粉の「こ」を組み合わせたという。これまでは玉ねぎパウダー、キャベツパウダーと呼んでいたが、今後は素材別に「タマネギぐるりこ」、「キャベツぐるりこ」などの商品名になる。

 ロゴのデザインは制作中だが、「ぐるりこ」を使用した商品パッケージやPOPにする予定。たとえば「タマネギぐるりこ」を使ったオニオンブレッドやドレッシング、レトルトカレーのパッケージに表示し、一般消費者が「サステナブルな商品」として認知するよう展開していく。

吉野家、ポンパドウルと商品開発

 ASTRA社は「かくれフードロス」と呼ぶ未利用食材を「過熱蒸煎機」でアップサイクルし、食品パウダーの商品開発を進めている。吉野家ホールディングス(東京都中央区)、ベーカリーチェーンを展開するポンパドウル(横浜市)との協業では、牛丼用玉ねぎの端材を粉末化し、パン生地に練りこんだ「オニオンブレッド」を今年2月から販売している。

 食品パウダーの流通拡大を図るため、これまでは食品工場で発生した野菜の端材をASTRA社の工場に運んで処理していたが、食品工場に「過熱蒸煎機」を設置し、現地で処理する仕組みを新たに構築する。

 野菜の端材は輸送段階でも温度管理が必要なため、現地で処理できればCO2排出量や物流コストの削減につながる。生産した「ぐるりこ」はASTRA社が買い取り、販売することで食品工場側のリスクを抑えながらサステナブルなフードサイクルを実現できる。

 加納社長は「過熱蒸煎機の社会実装が間近になった。循環型フードサイクル実現の一員になってもらいたいとの思いを込め、やわらかくてかわいい響きの『ぐるりこ』と名付けた。多くの人に親しんでもらえるブランドに育てたい」とコメントしている。

    「過熱蒸煎機」で製造した「ぐるりこ」