野口正見の「５Ｓ活動による食品工場改善」
よりよい食品工場をつくる５Ｓ活動エピソード −２−
敷地の３Ｓ（整理、整頓、清掃）から始めた
私が社長として赴任した会社は食肉の販売や、食肉製品、冷凍食品を生産する工場を持ち、１万坪弱の広大な敷地を持っていた。
敷地の内外は雑草が生い茂り、事務所、作業場は５Ｓによる管理が全く出来ていなかった。「なにしろ、老朽化した工場だから」とあきらめている企業風土だった。
手をこまねいていても仕方がない。とにかく動き出すことである。そこで５Ｓの教育を兼ねて、まず敷地の草取りを社長以下全部署の役職者で週２時間２回、曜日を決めて実施することにした。退任した取締役を嘱託として雇用し、リーダーとした。作業の計画を立て、成果は作業前、作業後の写真により記録に残し、従業員にも掲示して知らせた。
役職者は草が抜かれ、きれいになった敷地を見て、大いに感動し達成感に浸った。部下たちにとっても、社長から経営層、上司の役職者が率先して草取り、掃除をしている背中を見て、実際にきれいに、清々しくなっていく敷地を見て、５Ｓの効果を実感したであろう。
敷地の草むらの中には、使わなくなった機械やコンベアなどの設備が放置されていた。そこで作業場内の遊休、不要機械や不要設備とともに、これら放置されていた機械類を所定の場所に集め、�．好�ラップ、��売却、��再使用機器に分類し、処置を進めた。これで有形固定資産の管理が出来るようになった。資産実態が明確になって経理課長が喜んだのは言うまでもない。またその後は機械など固定資産をより慎重に購入するという好影響を及ぼすことにつながった。
この作業は１年間続けた結果、自然と会社の外回りにも掃除が広がり、近隣の美化に貢献し、人通りもにぎやかになり、近隣住民からも非常に喜ばれたのである。
毎朝の清掃が日課の伊那食品工業、井上修社長も率先して草取りをする