大量生産でも“ブレ”ない、連続ミキシングシステム

 「原点回帰」が今年のテーマの愛工舎製作所は、ミキサーを中心とした提案をFOOMAで行なう。長い歴史を持つ縦型ミキサーだけでなく、カッターミキサーや連続ミキサーなどラインアップは豊富。このほど完成させたプレミキシングミキサーASCM-90VTJからTM-500GAの連続ミキシングシステムは、より安定した生産工程が実現する。中堅から大手の大量生産向け食品工場の需要をねらう。

製菓工場をはじめ、水産や食肉工場などにも
導入が進む「連続ミキサー」

 同社の連続ミキサーは仕上がり量70〜1000L/Hの能力を持つ機種をラインナップしているが、連続ミキサー「TM-500GA」は1000L/Hの大量生産工場向け。ミキシング部内の圧力とミキシングローターの回転速度、エアー量を一定に保ち、一定量の材料をミキシング部に送り込むことで、安定したエアレーションを連続的に行う。バッチ式のミキサーや他のホイップマシンではできない理想的なエアレーションができる。製菓工場をはじめ、水産や食肉など食品加工全般、あるいは化学分野でも利用されている。
 さらに近年、ミキシング部分の構造を改善することで、従来機と比較して乳化・攪拌効率が大幅に向上した。これに伴い受注案件や引き合い件数も、大手菓子メーカーを中心に着実に拡大している。
 今回のFOOMAでは、ミキシングシステムや機能を説明した動画を作成。普段見ることができない内部の構造を公開し、ミキシングしている様子などはアニメーションを使って説明する。
 また、このほど完成させたプレミキシングミキサーと連動した連続ミキシングシステムをFOOMAで紹介する。連続ミキサーの一例として前工程のプレミキシングミキサーを設置し、大型工場でどのように稼働するかを説明する。
 このプレミキシングミキサーは加温、冷却、真空、加圧の機能を持つが、元々医薬品や化学向けに開発したもの。これを食品向けに応用し、今回は多様の製法がある菓子製造工程での使用を一例として、効率よく安定した連続生産をするミキサーASCM-90VTJを展示する。

 カッターミキサーは様々な材料を瞬時に粉砕、混合、乳化する。パンや菓子作りだけでなく、ソーセージやパテ類などの食肉加工、かまぼこやすり身などの水産加工品、餃子の具材など惣菜作りでも活躍している。スープやマヨネーズ、おろしわさびなど調味料用途でも実績がある。
 大分県日田市で地元の特産品を加工しているメーカーはカッターミキサーを4台導入。柚子ペーストや、柚子胡椒に使う柚子の皮の加工、柚子塩に使う乾燥柚子皮の裁断、唐辛子のペースト、梨のペースト、梨のジュースを作る際、クラッシャー代わりに使うなど、用途は様々。「機械の大きさも丁度よく使いやすい。作業者の安全性にも配慮している」と評価を得ている。

 ミキシング工程周辺の省人化もテーマとなる。粉自動搬送や計量、ふるい、投入など、仕込みから次工程までの一連のシステムを提案する。
 粉体計量機メーカー大手の粉ふるい自動計量装置と連動し、同社のステンレスミキサーやスパイラルミキサーで仕込み工程を紹介。ミキシング後は、安全性が向上したボールリフト反転投入機で次工程に投入することで異物混入などの危険性も軽減する。
 会場では、完成品や生産量を考慮し、一連のシステムのさまざまな組み合わせを紹介する。従来、人が関わってきた工程を自動化することで、人手不足で悩む生産現場を省人化。加えてヒューマンエラーの懸念も払拭する。