計画投資で自社工場の生産性1.5倍に
冷凍ミートボール�癸韻竜’修髻屬気蕕剖�く」
ケイエス冷凍食品 代表取締役社長 久田貴之氏
ケイエス冷凍食品（大阪府泉佐野市）はＪＴ（日本たばこ産業）の食品事業会社テーブルマークのグループ会社。創業した1972年当初から独自性を強く持つ商品戦略で、市場に存在感を認められてきたが、中でも「肉だんご」、「鶏つくね」などの冷凍ミートボール類では家庭用、業務用を通じ業界トップシェアを持つ。
この強さをさらに発揮するため、全社で「冷凍ミートボールの断トツ�癸吋瓠璽�ー」をめざし取り組んでいる。ミートボール以外は、協力工場、あるいは親会社テーブルマークグループの直営工場などを起用し生産しているが、冷凍ミートボールは唯一の自社生産拠点である泉佐野工場で全てカバーしている。
その泉佐野工場はここ数年来、計画的な設備投資で生産改善を続けてきたが、ほぼ一段落。工場建屋は変わらないが、生産能力は1.5倍に増強を実現した。しかも工場に新たな空きスペースを生み出し、ここは｢次の展開に充てる｣という。
計画的な設備投資を企業の「強さ」に活かした例として注目できる。
久田社長
――冷凍ミートボールで市場シェアトップ。今期の動きは？
久田 １〜11月まで全社では市販用、業務用とも売上げがほぼ前年並。しかし収益はプラスとなっています。12月の期末も同様の着地かと見ています。自社工場製品である市販用のミートボール、鶏つくね串、業務用のタレなし肉だんご等が好評です。営業も自社製品の拡販に集中している成果で、ミートボールに関してはいい形で動いています。現中計で当社の営業、開発、物流・調達などのそれぞれの機能を高めるとともに、そのヨコの連携も良くすることで“骨太の企業体”を再構築するように取り組んでいます。自社製品が伸びていることが収益性改善につながっています。
――自社製品、つまり自社工場である泉佐野工場の生産性が上がった？
久田 親会社テーブルマークの事業計画に沿って、当社の泉佐野工場も中期的な設備投資計画を策定しており、ここ数年、工場改善に取り組んできました。特にポイントとなるミートボールの串刺し工程を昨年１ライン増強したのに続き、今期は残る２ラインを改善したことにより、串刺し工程の生産性は３ライン合わせて1.5倍となりました。生産性改善と併せて、箱詰めなどの機械化、省人化にも取り組んだ結果、泉佐野工場の全体の生産性は大きく改善されました。
――工場生産性を改善し、営業は自社生産品に集中。つまり、戦略商品であるミートボールの強さに一段と磨きがかかった形だ。
久田 生産現場だけでなく、原料調達も物流も、管理部門もそれぞれの機能をヨコ連携することで、食品メーカーとしての事業基盤は強くなりつつある、と感じています。それが現中計のねらいでもあります。
２ラインで３ライン分の能力に、１本空き生み出す
家庭用冷凍ミートボールでも
�癸韻痢峭饂再�使用 肉だんご」
――泉佐野工場は冷凍ミートボールの生産能力が日本一。その工場の建屋、床面積は変えずに生産性はさらに大幅にアップした。理想的な展開だが。
久田 昨年の設備投資で串刺し１ラインの生産能力が1.5倍に拡張しましたが、今年２ラインで同様に1.5倍の能力アップとしました。つまり、１ライン当たりの生産性100×３ラインで300の生産能力だったものが、1.5倍になったため、150×２ラインで300を作り出すことができるようになったわけです。従って１ライン分の生産スペースが空いたことになり、ここを今後生かすことができるようになりました。
――次の投資計画は。
久田 箱詰めなどの工程で機械化、省人化を進める改善にいま取り組んでいます。これが12月末までに終える予定。これで大きな投資は一段落。次の課題は人事の適正配置などに取り組みます。生産現場は従来型の仕組みに慣れているため、過去の踏襲におちいりがちですが、市場環境は急激に変化を続けています。これに対処し、さらに「もっと上」の企業価値を実現するためには、全体最適を求めなければなりません。１年かけて人事配置を見直します。
ミートボールは世界の料理、市場まだ広がる
――冷凍ミートボール市場、どこまで広がる？
久田 我々は一般スーパーのほか、仕出し弁当、給食、惣菜などの業務用でもミートボールの需要を広げていますが、実は外食市場はまだ手薄。しかも肉だんごでは特別の技術とノウハウを持っており、柔らか食でも高齢者施設・メディカル市場向けにいろいろ提案できます。また、家庭用でもスーパーだけでなく、コンビニ、ドラッグストアなどまだまだ伸ばせる市場はあります。当社の調査によれば、食肉加工製品としてハンバーグをメインとする国は意外に少なく、実はミンチ加工品、つまりミートボールを食べている国は約120カ国と圧倒的に多いことがわかっています。日本でも「肉料理ならミートボール」と認知され、食卓の中心に位置づけられるよう、当社全員で頑張ります。