日本冷凍食品検査協会
現場でつくりこむ「食の安全・安心」 実践のポイント −19−

第5章 クレーム削減のための異物対策
1 重要管理点となる金検・X線異物検出機の管理

(5)軟X線異物検出機の原理と留意点
 近年、軟X線異物検出機の価格も安くなり、金属検出機のかわりに軟X線異物検出機を使用する工場も増えてきています。「X線検出機は、金属以外の異物も検出できるので、金属検出機よりも万能である」と考える人もいますが、金属検出機とX線検出機の検出原理は異なるため、それらの原理を正しく理解し、自社にあった機器を選択、または組み合わせて使用する必要があります。

 軟X線異物検出機は、X線を発生させるためのX線照射管と、X線の透過量をみるラインセンサー(またはCCDカメラ)等で構成されています。
 X線照射管から発生したX線は、検査物を通過し、ラインセンサーでその透過率を見ます。検査物がないところについては、X線が100%透過するため、透過率が100%になりますが、検査物があるところについては、X線が吸収されるため、透過率が落ちます。
 もし、検査物の中に異物があれば、それだけX線が吸収されるため、通常の透過率に比べて低くなることから、異物として認識することができます。(図9参照)

 軟X線異物検出機の強みは、金属検出機と異なり、金属以外のプラスチックや骨等も検出することができることです。しかしながら、軟X線異物検出機は毛髪や錆等の比重の小さいものは検出しにくく、また、物の重なりがある場合には、検出しにくいといった欠点もあります。(図10、11参照)
 そのため、軟X線異物検出機の欠点も知った上で、正しく使用する必要があります。

(6)金属検出機や軟X線異物検出機で排除された製品の管理
 金属異物等のクレームで意外に多いのが、金属検出機やX線異物検出機でいったん排除されたにも関わらず、排除後の管理不十分で再び良品に混ざり、そのまま出荷されてクレームとなるケースです。
 この防止策として、排除品の取り扱いを専任化することと、排除品の区分を明確にするため、排除品を専任者以外の人は取り出せない構造にした排除品ボックスで保管すること、またその措置の記録を残すことが必要です。

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