野菜にやさしい洗浄で消費期限を延長
  見た目や臭い、食感など品位が向上
    サラダクラブ 五霞工場(茨城県)<下>

 パッケージサラダの製造販売で国内シェアトップのサラダクラブは野菜にダメージを与えない特許製法の洗浄方法を2015年に確立し、主力商品の千切りキャベツで消費期限をそれまでの3日から4日に延長した。さらに今年、特許製法をベースにキャベツのダメージをより抑える洗浄方法を確立し、5日間の日持ちを可能にした。消費期限の延長に加え、時間が経過しても臭気が発生しないなど品位を大きく高めた。

 五霞工場の2階会議室。テーブルには製造から5日経ったパッケージサラダの千切りキャベツが4種類並んだ。「封を開けて臭いをかいでみてください」。石塚光彦品質保証部課長に促され、臭いをかぎ比べた。
 1つ目は創業当時の製法で作った千切りキャベツ。独特の臭気が鼻をついた。2〜3つ目は特許製法の「野菜にやさしい製法」で作ったもの。臭いは大分抑えられている。最後の1つは今年4月に発表した新製法。先の3種類と同じ製造5日後の千切りキャベツだが、驚くことに臭いはまったくしない。皿に盛った時のふんわり感、噛んだ時のジューシー感も維持している。
 石塚課長は「今回の洗浄技術は消費期限の延長はもちろん、官能評価を大きく改善し、品位を向上させたことが重要」と語る。
 サラダクラブは野菜の洗浄に対して、細菌を減らすことを重視する従来の考えから「野菜本来の抵抗力を活かして細菌を増やさない」考えにシフトし、洗浄方法の研究に長年取り組んできた。野菜は外側に細菌が多く付着し、内側は少ない。洗浄による痛みは内側のほうが大きい。そこでキャベツの洗浄では、カット前の段階で洗浄をしっかり行い、カット後は水を注ぎながら千切り処理する。その後、野菜にダメージを与えないようやさしく殺菌洗浄する。この「野菜にやさしい製法」で特許を取得した。キャベツをスライサーでカットする際、切断面に水を注ぐ洗浄は特許のコアになっており、キャベツをより衛生的な環境で製造することができる。
 今回の新製法のポイントは「カット後の殺菌洗浄の工程で清浄度を極限まで高めたこと」(石塚課長)。殺菌洗浄方法、温度管理などの要素を組み合わせ、キャベツのダメージを抑えたことで、消費期限の1日延長と品位向上につながった。
 サラダクラブの調査ではパッケージサラダの利用率は5割超。健康志向の高まりや、簡便な調理に対する需要は広がっており、伸びしろは十分ある。石塚課長は「いまだに保存料を使っているのではないかと疑う人は少なくない。パッケージサラダに対する誤解を解き、おいしく食べてもらうことで利用者を広げていきたい」と語る。

 キャベツのダメージをより抑えた殺菌洗浄。洗浄時間や水溶液の濃度は自動調整している

          組み合わせ計量機のホッパーに人手で野菜を投入

「微細金属探知機」で異物検出を徹底

 洗浄殺菌が終わった野菜は充てん・包装工程に回す。トレーラインと縦ピローのラインがある。袋商品の縦ピローラインでは、コンテナリフターが原料の入ったカゴを上に持ち上げ、組み合わせ計量機に自動投入する。高速で計量し、袋に次々と充てんしていく。包装はガス置換方式で野菜の劣化を防ぐ。
 ここでは「入庫票」(前回参照)の2次元バーコードで読み込んだ品名や産地などの情報がホストコンピュータを通じ、重量換算して伝わるため、産地や内容量、消費期限の転記ミス、改ざんなどを防いでいる。印字検査機にも同様に伝わるため、ミックスサラダなど産地が複数印字されている場合でも誤りがないか厳しくチェックできる。
 包装後は「微細金属探知機」を通して箱詰めする。包装ラインにも通常の金探は設置しているが、微細金属探知機は感度が高く、磁性のある金属異物に対しては、通常の金探よりもはるかに高い精度を保持している。
 箱詰めした商品は低温管理を継続して配送センターや店舗に届ける。
 サラダクラブは品質第一主義を掲げ安全・安心への取り組みを徹底するとともに、契約産地がそれぞれ最適な季節に合わせて野菜を生産する「産地リレー」を活用し、常に旬の原料を調達できる強みを持つ。
 国内パッケージサラダ市場は年々増加傾向にあり、2018年は1609億円に拡大した。サラダクラブは国内シェアトップの22.4%を獲得する。

   コンピュータ制御で自動計量し、カップの組み合わせで最適量を充てんする

     通常の金属探知機よりもはるかに高い精度を持つ「微細金属探知機」

        微細金属探知機を通過した商品はすぐに箱詰めされる