東京冷蔵倉庫協会(東冷倉)の吉川光太郎会長は年末会見を29日行い、東京都の冷蔵倉庫の存在意義や経年化の問題、冷媒問題について見解を示した。経年化問題については「重要な役割を果たす冷蔵倉庫が老朽化するのを看過すべきでない、と行政に訴え、要望を伝えていく」との方針を示した。吉川会長は経年化の問題と冷媒問題に関して次のように語った。
吉川会長
東冷倉会員各社の設備(全体庫腹137.8万t)をみると、築30年以上が57.6%を占める。ある試算では、20年後に63万tの建て替えが必要と指摘している。20年後の食糧需要が149.5万tと予測されることからすると、現状の庫腹を維持しなければ都民の胃袋を満たし、安全・安心に冷凍保管するのが難しくなる。
そこで会員には建て替えを考えてもらう必要がある。もちろん建て替えは会員各企業の問題だが、当協会としても何らかの働きかけが必要な水準にまで経年化は進みつつある。懸念されるのは土地不足。そこで行政に対し、重要な役割を果たす冷蔵倉庫が老朽化するのを看過すべきでないと訴え、国交省や東京都、場合によっては各自治体と話し合い、行政の考えを聞き、協会側の要望を伝えていく。
土地が絡むと難しい話になるが、そこまで踏み込む必要がある問題。東京都の庫腹高は神奈川県に追い越されているが、食らいついていく。
自然冷媒への切り替えや再生フロン活用といった対応を会員各社が個別に行っている。代替冷媒は高コストが大きな問題。R22以外の冷媒はものすごくコストがかかり、効率が悪い。技術的な課題も残されており、対応で協会、会員各社とも苦労している。
ある銀行の調査によると、大手業者はアンモニア・CO2の組み合わせによる冷凍機への転換を意識的に行っているが、中小零細はR22が生産されている間(2030年に全廃)にできる限り備蓄し、現在の冷媒システムで倉庫を稼働できる限り凌ごうとしている様子。