地域と共生、社員の雇用守る
春巻は日産30ｔ、数量と機械台数で日本一
ニチレイフーズ白石工場��
ニチレイフーズ白石工場（宮城県白石市、伊藤照夫工場長）は従業員が安心して働ける職場を作るために労使一体となって取り組んでいる。同工場はニチレイフーズのなかでも船橋、関西工場に次ぐ基幹工場。生産するのは春巻、クリームコロッケ、グラタン・ドリアの３本柱。冷凍食品工場といえば効率一辺倒となりがちだが、同社はあえて「従業員が安心して働ける職場」をモットーに工場の安定稼動と雇用の安定、作業現場の安全性向上や動線改善につとめている。
白石工場は元々、果実・農産缶詰の工場として発足、1970年頃からクリームコロッケ、グラタン・ドリアなどの冷凍食品の生産を開始、さらに春巻を日本で最初に工業的に生産を開始したという伝統的な工場。
その後、工場の一部を白石蔵王工業団地に移設して近代的な大型工場を建設。春巻を除きコロッケ・グラタン・ドリアラインを大きくして操業を開始した。春巻ラインは旧来の工場に残し「白石第二工場」として生産する仕組みに変えた。
05年７月工場集約のため増設工事を開始。06年１月、博多工場の春巻と白石第二工場の春巻を現工場に統合、同年３月から操業を開始した。
さらに昨年１２月整備工事を開始、今年１月末に工事を完了した。コンパクトなフリーザー２基を導入してラインレイアウトを変更し、ゆったりとしたスペースをとって、働きやすい環境整備を行った。投資額は４億6000万円。
現在のニチレイフーズ白石工場が作る商品は�―婀��▲�リームコロッケ��グラタン・ドリアの３本柱。
ニチレイフーズ白石工場
春巻の生産は日本一
春巻は油調後約５時間が経過してもパリパリ感を持続できる皮に特徴をもつ。中具についても食感、具材感を重視し、本格中華味に仕上げている。春巻の種類もたけのこやきくらげの入ったオーソドックスな春巻だけでなく、ゴーダチーズの入った春巻チーズやピリリと辛さを効かせた春巻チリソース、さらにキーマカレーなどバラエティに富んだ商品を揃えている。
白石工場は２階建て。春巻の生産ラインは２階に設置している。
調味室でロットごとに調味料等を小分けして袋詰めし、二次元バーコードを貼る。生産計画に基づき、原料・資材は必要量があらかじめサーバーに入っており、現場の端末から情報を引き出せる仕組み。
製造現場では端末機器で確認できるのでミスが出ないし無駄も出さない。作業が単純化でき、だれでも簡単にこなせるのがこの「プロダクトアシスタンスシステム（ＰＡＳ）」の強みである。冷蔵庫の入り口にも端末がを設置してあり、入出庫情報を確認する。もしも賞味期限が切れた原料を出庫しようとすると警報表示により教えてくれるという。ＰＡＳはもちろん１階のコロッケ、グラタン・ドリアラインでも同じように利用している。
春巻の原料処理工程では中具や麺帯用生地づくりを行う。ドロドロの生地を大きな太鼓を立てたようなドラム式麺帯成型機で薄い皮に焼き上げたのち、中具を充填して包みこむ作業をすべて機械により行う。
春巻の生産ラインは蔵王ラインと白鳥ラインの２列。それぞれにコンパクトで場所をとらず冷凍能力に優れたフリーザーを設置している。
ずらりと成型システム（麺帯製造機と成型機）が並んだところは壮観。伊藤工場長は「生産数量と機械の台数で日本一の春巻工場です」と胸を張る。
作っている春巻は業務用のノンフライ商品中心で、35ｇ、50ｇの２タイプあり日産30ｔ。
包装ラインでは重量・金属探知機、さらにエックス線異物探知機を通し、念入りな安全確認を行う。
春巻の麺帯製造機（左奥）と成型機（手前）から続々と商品が作り出されてくる