低温食品物流市場の今後は、主にアジア圏を中心に海外需要がさらに拡大すると期待できることから、当面は拡大傾向で推移するものと推測している。15年度は1兆4100億円の見込み、16年度は1兆4600億円、17年度は1兆5500億円と予測した。
注目動向として、アジア圏を中心とした海外の低温物流需要の高まりを挙げている。東アジアと東南アジア諸国の経済成長に伴って生活水準が高まる中、CVSやGMSなどの流通事業者や外食産業のアジア進出が活発になっており、冷凍・冷蔵食品をはじめ、厳格な温度管理が必要とされる食品の物流需要が拡大している。
そこに、低温食品物流に長けた日系物流事業者への注目が高まっているという。その要因は、誤配、遅配、破損の低減といった物流品質を重視した高水準の物流サービス、断熱性能や保護性能の高い梱包資材の利用、配送先でのドライバーの納品態度、匂い移りをはじめ商品ごとの特性に対する様々な取り扱いノウハウ、共同配送をはじめとする高効率な輸配送の仕組みづくりを挙げている。
こうした低温食品物流の様々な実務的知見や高効率システムなどに関し、日系低温物流事業者は世界でも最高レベルの水準にあり、アジアに進出する日系流通、外食産業事業者だけでなく、現地の事業者や欧米の事業者からも低温物流業務を多く受託するようになっているという。
一方で、アジア圏での物流に関しては、車両や物流センターなどの物流インフラが他温度帯(定温度帯、冷蔵温度帯、冷凍温度帯)の保管・配送に対応していないなど、未整備な物流環境が多い。現地作業人員についてもまだ実務経験が十分ではなく、物流品質の向上、効率化に向けて解決すべき課題は山積していると総括している。