冷凍新団体が始動、凍結技術の基準づくりを進める
（一社）食品冷凍技術推進機構（鈴木徹代表理事＝東京海洋大学特任教授）は「第31回食品冷凍技術懇談会／食品冷凍技術推進機構キックオフ講演会」を５月29日、オンラインで開催した。同機構は冷凍食品、凍結食品に関して技術面から迫り、その健全な普及・発展を使命とする団体として今年３月に発足した。食品冷凍技術懇談会は鈴木特任教授が2020年11月から毎月定期開催してきたもので、今回から新団体の事業のひとつに位置付け毎月開催する。
鈴木代表「科学的根拠に基づき情報発信」
鈴木代表理事
鈴木代表理事は同機構の設立のねらいや概要について次のように説明した。
「冷凍食品は民間各社をはじめ、団体、大学などで研究されてきた。ただ研究や試験する場が分散しており、その方法もバラバラで統一性に欠けている。凍結装置が良ければ何でもおいしくなる、というような科学的根拠のない主張もある。
こうした状況下、半オフィシャルなところが正しいチェック機能を果たすことが重要だと考え、食品冷凍技術推進機構を立ち上げた。当初はＮＰОでと考えたが、活動が制限されるので社団法人とした。ある意味で営利を追求する部分もあるが、その利益は機構の目的達成に使う。
機構は�／�品の冷凍技術に関わる試験・研究、開発、�⊃�品冷凍に関する科学的根拠に基づいた情報発信の拠点形成、��食品冷凍技術のプロフェッショナルを育成、�た�品冷凍の新知見を利用した新しいビジネス、食の世界を創出していく」。
冷凍技術が発展する中で科学的に評価する手法が乱立し統一されていない、企業・組織ごとに独自の実験・評価方法が行われておりオープンにされていない、冷凍関連機器や冷凍食品の品質を評価する上での妥当性が判断できない、といった課題解決のため、機構では「冷凍に関する実験・評価方法などの基準づくりを進める」。また「ラボ（実験設備研究所）を設立し、中立的な立場で基準を作る」という。
こうした「基準作りプロジェクト」（仮称）の他、賞味期限の短いチルド食品を冷凍食品に切り替える「チルフロ実証化研究」、「電子レンジ装置と冷凍食品の規格化」、「賞味期限設定手法のＡＩプログラム開発」などのプロジェクト立ち上げを計画している。
機構のラボは東京海洋大学内に設置する予定。代表を除く理事は４名、顧問７名、学術会員20名。入会費なし。年会費は一般会員（法人・個人）２万5000円、賛助会員（特別会員）８万円。寄付金は１口10万円。７月から会員の募集を開始する。
鈴木代表理事は「食品冷凍の科学と技術と今後の展望」を演題に講演した。