中国人経営から日本人の管理に、共同資材調達などでコストダウン実現
テーブルマーク��
テーブルマークは中国の事業戦略に当たり、異国で多くの中国人をマネジメントするために、これまで子会社の総経理（社長）をはじめとする幹部に中国人を起用し、中国人管理者を中心とする経営としてきたが、中国人による中国人のマネジメントを継続していく一方で、各社がそれぞれの経営手法でマネジメントしてきたため、企業のガバナンス（統治）力が統一できず、総合力を発揮できなかった。
そこで中国統括部を軸に経営を一本化し、コンプライアンス、社内決済手続きなどの事務処理、業務管理も含め、まとめようとグループ総合力を発揮していく。
統一管理するコーポレート業務と、営業、開発の業務も具体的に推進するため、３部門に１名ずつ日本人スタッフを配置。これに中国人スタッフ６名を加え中国統括部を形成している。連結各社と中国統括部スタッフの総力結集を図っているが、必要であれば日本人駐在員をさらに増やす考えもある。経営統合の取り組みにより、資材原料等の調達コスト軽減に結びついている。
威東日、コンベアで横持ち作業軽減、１万5000坪に９ライン、年間２万ｔ
テーブルマークの中国連結子会社、威海威東日綜合食品（山東省威海市、羅會明総経理）は同社が中国事業に本腰を入れるきっかけとなった先駆的な会社。
威海は山東半島の東端で、渤海湾、黄海に面する漁業の町。周囲には水産加工会社が多数あり、食品加工インフラが整っている。道路網の整備発達により、山東省の中心都市青島から３時間で往来できる。
コンベアを天井近くに敷設している
５万1000�屐別鵤泳�5000坪）の広大な敷地の中に９ラインの加工設備と冷凍倉庫を持つ。あじ、白身魚などの水産フライ、いか／下足フライ・いかから揚げ、野菜・牛肉コロッケ、たこ焼き、かにかまなどの調理加工を得意とする。パン粉も自製化している。
年間生産能力は２万ｔ。
労働力確保が難しくなったため、装置化、自動化を推進している。労働力でカバーしていた横持ち作業はコンベアを使い、しかもフロアの混雑を避けるため天井近くにコンベアを設置している。
コンベアをフリーザーに直結し省人化、省コスト化
無駄取りで工場改善
威海威東日綜合食品は省力化、省人化に独自の工夫を重ね大きな効果に結びつけている。
フリーザーに直接投入するように改善
トンネルフリーザーなどに食品を入れる際は、重なり合いなどを避けるため整列作業を行なう前工程を別途入れていたが、投入する直前に整列も同時に行なうように改善し、しかもコンベアをフリーザーに直結させることで工程を短縮し省人化、コスト削減をした。
手作業だったパン粉付けも日本の自動機を導入し省人化した。「機械化することで人の無駄な移動がなくなり、むしろ作業がしやすくなった」（羅會明総経理）という。
オーブンを導入、これによりいか照り焼きが人気商品に育った。自動包装機も新たに導入した。たこ焼きラインは金型に生地を入れて手作業で返す以前と同様の工程だが、このラインにはＸ線検査器を入れた。
羅総経理、北大大学院で
水産博士号を取得した
工場改善の集団活動に３年前から取り組んでいる。生産性向上、品質改善、省力化など改善に役立つ提案を奨励し、報奨金で報いる。併行して「無駄」（加工しすぎ、在庫、待ち時間、加量生産、運搬、人の移動の無駄）をなくし不良品削減をめざしている。
羅會明総経理によれば「活動に取り組んで生産現場も事務職も意識が変わった」という。１年間の給与総額に匹敵する報奨金を受けた社員もいるが「それ以上に改善効果が大きい」という。経費削減を徹底し、意識改革するため、事務所内は冬でも暖房を入れていない。
2200名いた従業員はいま確保が難しくなり700人に減った。さらに機械化を進める。