ヒアルロン酸機能性研究会は東京都文京区の東京大学弥生講堂で第2回学術大会を9月29日開催した。
同研究会の漆畑修副会長(東邦大学客員教授)が次の様に挨拶した。「当研究会はヒアルロン酸に関する基礎・臨床研究の推進、その成果の普及と社会への貢献、会員相互の交流をはかることを目的に昨年3月12日に発足。9月10日には第1回学術大会を開催した。
今年度の学術大会では基調講演を唐木氏に、特別講演を西田氏にお願いした。学術講演では、基礎研究を板野氏、医薬品部門をLee氏、化粧品部門では高橋氏に講演いただく。これらの内容が今後のヒアルロン酸研究の発展に貢献できればと思っている」。
基調講演は食の安心財団理事長で東京大学名誉教授の唐木英明氏が「機能性表示食品制度の課題」と題し行った。唐木氏は以下の様に語った。
講演する唐木名誉教授
「機能性表示食品の届け出制度は簡素化されたが、書類の作成には専門知識と経験が必要。書類はすべて公表されるので、不備がある届け出は直ちに批判を浴びることになる。この制度の存続と発展により、企業には不適切な健康食品の自主的排除が、国民には消費者教育と自己健康管理の推進が期待されている。そのためにも企業は科学的常識を基本としたガイドラインを遵守し、間違っても社会の批判を浴びないような届け出が必要だ。
人間は科学的ではなく物語を信じる動物であり、巧みな宣伝文句で人を引き付ける不適切な健康食品に希望を託してしまうことがある。芸能人を使ってイメージを売る時代から科学的根拠の時代へ転換すべきである」。
学術講演では京都産業大学総合生命学部の板野直樹教授が「ヒアルロン酸生合成機構から健康長寿を考える」について、LG生活健康技術員のPhD.Lee Heon Sik氏が「鶏冠由来ヒアルロン酸が膝関節痛に及ぼす影響に関する研究」について、エムティーコンサルティングの高橋元次代表が「化粧品におけるヒアルロン酸の活用と問題点」について解説した。
特別講演では山口大学名誉教授の西田輝夫氏が「眼科におけるヒアルロン酸医薬品開発の歴史と現状」について説明した。
大会には約130名が参加した。