オムロンは生産現場で熟練の作業者が担ってきたヒーターなどの温度パラメーター調整をAIで自動化する「温度調節器 E5CD/E5ED」と「包装機用温度センサー E52-CA AY S」を3日発売した。
温度調節器 E5CD/E5ED
独自の温度調整アルゴリズムを搭載し、これまで熟練作業者が、生産品目や材料配合の変更など生産状況の変化に合わせて、経験と勘を頼りに行ってきた温度パラメーター調整を自動的に行う、業界初の温度調節器。
常に最適な値に設定を自動更新することで、ヒーターの立ち上げ時間を短縮した。設備のシステム変更など環境変化によって、急な温度変化が発生しても、最適な値にパラメーターを調整するため、不良品の発生を抑制する。
「水冷出力調整機能」によって運転速度、材料配合、冷却水の変更など、システム変更に起因する、温度の揺れを常時把握し、自動的に抑制する。成形機が持つ生産能力を最大化できる。
包装機用温度センサー E52-CA AY S
包装材のシール面の温度を正確に測定できる包装機用温度センサーを新たに開発した。測定した値を基に、ヒーター温度の変動を抑制する「自動フィルタ調整機能」を搭載し、包装速度や包装材料の変更に伴う調整作業を大幅に削減する。
生産現場では、製品の多品種化によりモノづくりが複雑で高度になっているが、最適地生産の観点から新興国へ生産移管が進み、作業者の技能不足に起因する不良発生や生産性の低下が深刻になっている。
中でも、成形工程や包装工程では、生産品目の変更ごとに行うべき調整ができず、温度に起因する品質低下を避けるため、装置の運転速度を落としたり、検査に掛ける工数を増やしたりと、生産性を犠牲にしている。
そこで同社は、長年培った温度制御のノウハウを生かし、業界初となる「適応制御技術」をはじめ成形機や包装機向けの温度調整アルゴリズムを搭載した「E5CD/E5ED」を開発した。ヒーターの起動に合わせ常に最適な値にパラメーターを自動的に更新するなど、人手による調整作業を不要にしながら、各種装置の高速運転を実現し、生産性を低下することなく、品質を維持・向上する。