野菜を育てるのに最適な光源は何か――。植物工場は補助金制度を追い風に、全国各地で実証実験などが行なわれ、参入企業も相次いでいる。新たなビジネスモデルの誕生に期待が持たれるが、その技術は現段階で、発展途上にある。そこで、新規の植物育成用光源を探る比較実験が動き始めている。
完全人工光型植物工場に使用される光源は、導入コストや使用実績などから蛍光管が主流となっている。しかし、ひっ迫する電力状況や省エネ化、植物工場のランニングコストの圧縮という観点から、新規の光源の開発が望まれている。
そこで、科学教育事業者や照明メーカー、店装資材・店舗什器メーカーらがスクラムを組み、これまで培ってきた技術を持ち寄り、植物を育成するのに最適な光源を見出す比較実験に取り組んでいる。
科学技術館でこのほど発育状況を報告した
実験は、経済産業省が実施した平成21年度先進的植物工場推進事業で、日本サブウェイが展示を維持・運営し、現在は科学技術館で常設展示している施設を使う。科学技術館と日本サブウェイの賛同で実施している。科学教育の一環として、同館を訪れる児童たちにも実験の様子を見せている。
日本サブウェイは東京丸の内の丸ビルに植物工場を設置した店舗を2010年7月オープンしているが、この施設は科学教育事業者リバネスの技術協力のもとで運営。店内中央に設置し、レタスを無農薬で水耕栽培している。コンセプトは「店産店消」。植物工場を囲むように客席を配置し、育つレタスを見ながら食事を楽しむことができる。
店舗内で栽培したレタスのほか、他の食物工場からも仕入れ、同店で提供するサンドイッチに使用する全てのレタスを、植物工場産の無農薬レタスにしている。
リバネスは小規模植物工場ユニットを飲食店内に設置するという、この「店産店消」モデルが高い支持を受け、2011年度のグッドデザイン賞(ビジネスソリューション部門)を受賞した。