「石川県デザイン展」工業デザイン部門入賞
新ブランドの「MICURMシリーズ BRG型」。
キャッチコピーは「清浄をデザインする」
アサヒ装設の生パン粉付け機「MICURM（ミクルム）シリーズ BRG型」が第44回石川県デザイン展で一般社団法人石川県鉄工機電協会会長賞を受賞した。「工業デザイン部門」ほか計４部門で募集したデザイン作品の中から、時代をリードする表現や新しいライフスタイルの提案、産業や地域文化への貢献性などを審査基準に選ばれた。
「MICURMシリーズ BRG型」はエンジニアと外部の工業デザイナーとのコラボレーションから生まれたコンセプト機で同社初の試み。コンセプトは�仝�た目を格好よく「美味しくできそう」と思わせる、�∪�浄作業を楽にする、の２点。国内メーカーの厨房機器の多くはデザインよりも開発・設計が優先されがちで、全体のフォルムは四角張っている。
これに対し、同シリーズは丸みを帯びており、未来型を思わせるデザインを採用している。その理由は韓国、中国、タイに生産販売拠点を構える同社の海外展開にある。「海外の代理店から日本の機械はフォルムが格好悪いと言われる。この部分を見直さないと、海外販売は行き詰ってしまう。世界的に販売していくためにはその対応が必要」（山本洋志社長）という。
「見た目を格好よく『美味しくできそう』」のコンセプトのもと、フォルムだけでなく実際に食材をきれいに包むための工夫を本体内部やブロー部のデザインに取り入れている。壊れやすく、乾燥に弱い生パン粉がストレスを感じず、スムーズに循環できるように内部をデザインし、ブロー部にはパン粉の流れを阻害しないよう大きめの空間を作った。ローラーの高さはこれまでのフック式からダイヤル式に変更。ネタの厚さやパン粉の状態に対して精密な調整が可能になることで、手作りのおいしさにつなげられる。
「洗浄作業を楽にする」のコンセプトは、デザイン性を高めながら洗浄作業も簡単に行えるようにすること――。この両立困難とも言える命題を解決したのが、本体ユニットと出口ユニット、傾斜コンベアユニットの３分割フレームデザイン。部品を外さずに各ユニットを移動することで洗いたい場所に近づけるだけでなく、洗い残しを発見しやすいようにした。コンベアフレームは片持ち構造にし、ベルトの漬込み洗浄を可能とした。また、脚部フレームの横方向部材は、洗浄水やホコリ、パン粉の滞留を減らすために丸断面にして洗浄性を向上させた。
ユニットを３分割にすることで、外す部品を減
らし、洗浄作業を楽に行えるようにした
同社内では山本竜太部長が関連会社の（株）アサヒエンジニアリングの社長に就任した（兼任）。新たに広報部を設け、今後はブランディング強化を図っていくという。「これまで広報活動には力を入れてこなかったが、機械もブランディングが問われる時代。営業ツール用に動画コンテンツを充実させるなど情報発信を強め、MICURMシリーズを(同社主力の)HI-COOKのように育てていきたい」（山本竜太社長）と語っている。
同シリーズBRG型の発売は４月、標準価格1000万円を予定している。