洗浄ラインに容器投入装置、自動化をさらに前進
食品工場の容器洗浄機でシェアトップのクレオ（東京都中央区、名倉豊夫社長）は「省人化」、「安全・安心」、「ＣＯ２削減」、「食品ロス削減」をキーワードに衛生課題の解決法を提案する。
今回の注目製品は食品工場で使用する容器（内箱）の「自動洗浄脱水ライン」。昨年のＦＯＯＭＡで初披露してから１年、洗浄作業の自動化をさらに進化させた。昨年は洗浄機の出口に設置する「自動段積み装置」を出品し、洗浄からすすぎ、脱水、段積みまでの自動化ラインを展示した。今年は新たに入口側に設置する「自動投入装置」を開発した。
食品工場は内箱の種類が多い
台車に積み上げた容器をセットすると、機械アームが容器を１つひとつ持ち上げて（段バラシ）、裏向きに反転させ、洗浄機に投入していく。低圧多水量で洗いあげ、脱水工程では高速回転の遠心力で水滴を除去する。その後、容器を段積みするため、裏向きから表向きに再度反転させ、段積み装置で指定枚数に積み上げる。
これまでは容器を人手で投入していたため、洗浄ラインの出口部（終端）と合わせて２名の作業員が張り付く必要があった。投入を自動化することで、１名での運用が可能になる。
さらに、最大の特長と言えるのが、自動投入装置、段積み装置ともにサイズ違いや取っ手付きなど多種類の容器に対応できること。食品工場では異物混入を防ぐため、原料別や調理前後、出荷別などで容器を使い分けており、10種類以上になることもある。
自動投入装置は事前にサイズなどを登録すれば、ワンタッチで種類を切り替えることができる。
新たに開発した「自動投入装置」、作業員は内箱を積んだ台車をセットしてスタートさせるだけ、あとは投入から洗浄、脱水、段積みまで自動で行う
同社の広報担当者は「お客様からは、内箱の種類を減らしたくても限界がある。こういう装置があれば洗浄にあてる人手を減らせる、との評価をいただいている」と語る。
自動投入装置の寸法は長さ3510�弌濾�2070�弌濆發�2630�弌�これまでは自動化しようとすると、容器の段バラシ装置と反転装置が必要になりスペースも大きく確保する必要があったが、今回の自動化装置は１台で２役こなせるため、装置の長さを４割減らして省スペース化を実現した。
遠心脱水は環境にもやさしい
「自動洗浄脱水ライン」はＣＯ２削減にも貢献する。ポイントは脱水方式。洗浄・すすぎの後の乾燥工程を熱風乾燥ではなく、遠心脱水方式を採用することで、蒸気ボイラの使用量を大幅に削減できる。
展示会場では乾燥から脱水に切り替えた場合のＣＯ２削減量をシミュレーションして提示する。同社は計算式を作成しており、洗浄機の稼働状況（１日の稼働時間・１カ月あたりの稼働日数、ボイラ熱源など）から削減量をはじきだせるという。
「これまではランニングコストの削減をアピールしてきたが、時代の要請を受けてＣＯ２も大幅に削減できることを前面に打ち出していきたい」（広報担当者）。
バッチ式洗浄機をリニューアル
ＦＯＯＭＡではこのほか、主力の「炭酸次亜水生成システム」の小型タイプや器具洗浄機「かがやき」、バッチ式の容器洗浄機「クリーン・カット・キララ」を出品する。
「かがやき」はおにぎり成形の部品洗浄に使われるケースが増えており、コンビニベンダーからの評価が高い。展示ブースでは、消費期限延長のためには洗浄機・洗浄剤をしっかり使用した衛生的な洗浄はもちろん、現場オペレーションの重要さも提案していく。
おにぎり成形の部品洗浄に使われるケースが増えている「かがやき」
「クリーン・カット・キララ」はリニューアル機を出品する。洗浄、すすぎの後に水切り工程を加えることで容器の残水を減らす。プラスチック成形の容器は裏側に凹凸が作られており、水が溜まりやすい構造になっている。容器を洗浄機から取り出す際にかかってしまうと火傷を負ったり、床を濡らして思わぬ労災につながったりするリスクがある。
広報担当者は「通常では容器１枚あたり約900mlもの水が残ってしまうが、すすぎの後に高速で水切りを行うことでほぼ残らない」と説明する。今回は市場リサーチのために参考出品し、課題やニーズを探るという。
ブース番号は７Ｌ−09。
会期最終日の６月10日（金）10時30分からは、「これからの食品工場の衛生管理と洗浄のポイント」と題して講演する。安全で安心な食品を製造するために必要不可欠なサニテーションについて、衛生管理の基礎と現場の課題解決につながる取り組みを交えて解説する。事前登録制。
バッチ式の容器洗浄機「クリーン・カット・キララ」、ＦＯＯＭＡ
にはリニューアル品を出品する