開発力強化に向け拠点新設
理研ビタミン�蝓‖緝充萃�役社長 山木一彦氏
理研ビタミンは新研究・開発センター（仮称）を千葉市に来年10月開設する。山木一彦社長は「当社グループ独自の技術をベースに、開発力を強化する」と語る。
山木社長
――４月から３カ年の新中計が始まった。
山木 次のステージで成長できるよう、国内では収益基盤の確立を、成長エンジンの海外では構造基盤の強化を図ります。
――３年間で設備投資額171億円と公表している。
山木 投資先のひとつが「新研究・開発センター（仮称）」の新設です。食品用改良剤の研究開発体制の強化に向け、千葉市美浜区の千葉工場内に同センターを建設し、来年10月竣工予定です。ここで改良剤の基礎研究から商品開発、アプリケーション（応用提案）を推進します。大阪と千葉にある研究開発部門と埼玉県草加市のアプリケーションセンターを同センターに集約します。
――開設のねらいは？
山木 新中計のテーマである食品、改良剤、ヘルスケアを起点とした「新領域への挑戦」です。例えば、調味料と改良剤を合体した機能性調味料開発を試みるなど、既存事業の隣の島（新領域）をめざします。「ゆりあげファクトリー」（宮城県名取市）で海藻の研究・開発も進めます。当社グループ独自の技術をベースに、開発力を強化し社会に貢献します。
――社長に就任３年目。石の上にも３年と言うが、実感は？
山木 原材料価格の上昇や為替の影響による売上げ減少、中国の人件費アップなどによる海外事業の収益悪化など、いろいろと厳しさを実感しています。
――時代の変化に直面しているのでは。
山木 不採算品目は整理し、利益向上を図ります。青島福生食品（中国）は輸出型を見直し、中国国内市場を開拓するビジネスモデルの確立を急ぐとともに、生産の効率化を図り、収益改善につなげていきます。
――付加価値製品は伸びているはず。
山木 食品用改良剤や海藻は好調です。好調な製品のひとつが業務用「冷凍海藻」シリーズです。わかめ、茎わかめ、もずく、めかぶなどをラインアップしています。旬に採れた海藻を湯通しして、そのまま急速凍結しています。食感が格段に優れています。
――冷凍海藻のユーザーは？
山木 居酒屋をはじめ、学校給食、老健施設などです。三陸産「丸採りわかめ」や沖縄県産「美ら海もずく」など、いずれの冷凍海藻も好調です。「すりおろし風めかぶ」は老健から好評を得ています。
（やまき・かずひこ）1983年４月入社。加工用食品営業第４部長、天然エキス調味料事業推進部長、取締役業務用食品営業本部長、常務食品事業部門担当を経て、2016年６月から現職。1959年２月３日生まれ、59歳。宮城県白石市出身。東北大農学部卒。