冷凍食品がeギフトに対応、新たな販路になるか

 冷凍食品を使った「eギフト」(電子ギフト)のサービスが広がりを見せている。相手の住所がわからなくても贈れるため、誕生日や結婚祝い、出産祝いなどの贈答品としてだけでなく、簡単な御礼や感謝の気持ちを伝える贈り物としても気軽に使える。冷凍食品の新たな販路になるか−−。

 国産食材100%使用にこだわった冷凍食品のネット通販ブランド「旬をすぐに」を展開するファンデリー(東京都北区、阿部公祐社長)はLINEやメールで簡単に贈ることができるeギフトサービス「旬すぐeGift」をこのほど開始した。

 通常メニュー12品(Aコース、4776円)、ワンランク上のおいしさを追求したプレミアム商品12品(Bコース、5976円)、複数のおかずをワンプレートで提供する「旬すぐBOX」や日本穀物検定協会に認定された特A米を使った「旬すぐご飯」など12品(Cコース、5980円)の3コースの中から選べる。

    ファンデリーは1000円相当のポイントバックキャンペーンを実施している

 メッセージカードも用意した。注文者は誕生日や父母の日、中元・歳暮などの目的に応じてメッセージを添え、「旬すぐeGift」のサイトかLINEで相手にギフトの受け取りURLを送ることができる。相手は受け取りの日時や場所を指定し、食べたいメニューを選んで商品を受け取る。

 従来のカタログギフトと違い、ギフトの発注から受け取りまですべてPCやスマホで簡単に行えるため利便性は高い。

 ファンデリーはサービス開始を記念し、注文者限定で先着1万名に1000円相当のポイントを還元するキャンペーンを実施している。9月30日まで。

20〜30代女性がメインターゲット

 高齢者介護事業を展開するユニマットリタイアメント・コミュニティ(東京都港区、中川清彦社長)は、宅食サービス「食のそよ風」から20〜30代女性をターゲットにしたフローズンミール「GRAND DELICA(グランデリカ)」を今年4月に発売したが、このほどeギフトサービスを開始した。

 「GRAND DELICA」は「頑張った自分に贈るごほうびご飯」を開発コンセプトに、冷凍食品とは思えないおいしさと彩り、手にした瞬間、気分が上がる可愛らしいパッケージを実現した。メニュー開発はターゲットと同世代の女性社員たちが担当している。

 冷凍食品では珍しいピスタチオやドライトマト、アボカドなどの食材を採用したり、食材の華やかさを演出するために緑の色あいだけで17種類もの食材を使ったりと、きめ細かな工夫が随所に見られる。

 eギフト対応の商品構成は「ハンバーグのシャリアピンソース」、「かれいフライの梅ソース添え」、「マッサマンカレー」の3つのメニューをセットした「Happiness」など8コースを揃えた。いずれも4280円(税込)。デジタルメッセージカードは9種類。ギフトチケットはSNSやメールで送ることができる。

 ユニマットリタイアメント・コミュニティの「GRAND DELICA」、メニューだけでなく
 パッケージにもこだわっている

 矢野経済研究所の調査によると「商品券・ギフト券、eギフト」の2020年度の市場規模は約8702億円で、このうちeギフトは2075億円を占める。コロナ禍でギフト市場全体が縮小する中、eギフトは個人間のパーソナルギフトの需要拡大を背景に伸びており、2022年度は約2787億円、2025年度は約4057億円にまで拡大すると見込んでいる。

 手軽さや便利さが受けて、個人間での利用は今後も広がるとみられており、気軽に冷凍食品を贈るスタイルが定着すれば、eギフトは新たな販路になり得る。