食品産業は食の安全・安心に関わる問題が時代とともに変化して、国民的な大問題が毎年発生し、その対応と予防は個々の関連企業の改善努力はもとより、企業を越えた国レベルの問題にまで拡大している。
日本が直面している問題は、震災による東京電力の福島原発事故による放射能汚染であろう。周辺国土・海洋の汚染、その地域で栽培・漁獲される農水産物の放射能汚染については後日申し上げたい。
近畿地方で2000年６月コーヒー牛乳による黄色ブドウ球菌毒素で１万5000人の食中毒患者が発生した。
原因は北海道原乳処理工場が停電になり冷却が出来ず、原乳温度が上昇し毒素（エンテロトキシン）が発生した牛乳で粉乳を製造。大阪工場でコーヒー牛乳の原料として受け入れ検査をせずに使用し、食中毒が発生した。
この事件の本社と社長の危機管理の対応が悪く、この事件を契機に大会社が倒産に追い込まれてしまった。
過去の事例では2001年日本で発生したＢＳＥ（狂牛病）問題がある。10年一昔で、当時ナーバスになった人も記憶が薄らいでいるかもしれない。ＢＳＥ事件を契機として食品安全の問題は日本中の国民的な関心事となり、牛肉離れ現象となってしまった。
その対応として、科学的な原因調査追究に止まらず、消費者の安全・安心を確保するために牛肉の産地個体牛の屠殺から流通・小売り販売まで、氏素性を明確にするためのトレーサビリティーシステムが導入され、国の社会システムの変更まで実施された。経済の国際化が進み、食の分野でもボーダレスの時代に入ってきた。
イギリスの牛が狂牛病を発症したのが、日本でも牛の餌に輸入牛の骨粉が使用され、2001年に日本で初めてＢＳＥに感染した乳牛が確認された。
中国製冷凍餃子による中毒事件が2008年千葉・兵庫で発生、河北省「天洋食品」製造の冷凍餃子から農薬メタミドホスが検出された。
事件発生から２年経過後に、注射器で農薬を注入した犯人が逮捕され、中国側が公式に認めた。
事件発生以来、日本の主婦から中国製の食品に対し完全に信頼をなくした。それまで順調に中国の冷凍食品・野菜が日本に輸入されていたが、本事件により輸入量は急激に減少した。
�〆能蕕坊弍張肇奪廚離灰鵐廛薀ぅ▲鵐垢侶臟 �企業倫理の欠如があげられる。特に同族企業・ワンマン社長・過去の栄光と企業防衛のみを考えての言動。
�▲哀蹇璽丱覯宗ν�入食品の増大する企業環境の中で危機管理の不備、内部管理の甘さが見られる。
�Ｉ兵全浜�の軽視は営業優先であり、消費者軽視の経営姿勢である。
以上の原因から、経営層の革新が必要であり、企業の危機管理の整備をすすめ、消費者優先の経営が必要となる。それは消費者へより正確な情報の開示・正確・迅速・正直こそが原点である。