飲料ボトルキャップのAI検査ライン構築
高精度の画像処理技術を実装

IDS社のUSB3産業用
カメラ「UI-3280CP-C-HQ」

 生産プロセスの最適化をAIで実現するフランスの研究開発型企業、APREX Solutions(本社ナンシー)は独自の画像処理技術を使って、高速でラインを流れる飲料ボトルキャップ用の検査システムを構築した。画像取得にはドイツのIDS(Imaging Development Systems)が開発したUSB3産業用カメラを採用した。

 飲料業界は価格競争力と高品質の両立という困難な課題に直面していることから、今回の検査システムに注目が集まりそう。

 フランスのプラスチック製キャップメーカー、SOLOCAP(本社コントレクセビル)の品質部門もこうしたジレンマを抱えており、40種類のカラーと色調を備えたプラ製キャップのひび割れや微小な亀裂を高速運転の生産ライン上で確実に検出する必要があった。

 同社のスクリューキャップはあらゆる種類のガラスやPETボトルに適した高品質を誇り、素早く確実に密閉する。そのためには、ひびや裂け目、ねじれがないかどうかを出荷前にしっかりと確認する必要がある。

 今回APREX Solutionsはインハウスのソフトウェアアルゴリズムに基づくAIソリューションを独自に開発し、検査ラインに組み込んだ。誤判定を防ぐ制御システムを搭載した。

 AI検査のアプリケーションはSOLOCAP社の仕様に合わせて開発した。複数のテストポイントを持つ4つの制御レベルで99.99%超の精度を獲得した。

APREX社の検査システム、高速運転の生産ラインでプラ製キャップの欠陥をチェックする

IDS社のカメラが高速で撮影

 画像処理のためのビジョンシステムはIDS社のUSB3産業用カメラ「UI-3280CP-C-HQ」、強力なリング照明、プログラム可能なロジックコントローラー(PLC)を組み合わせた。このカメラはソニー製のCMOSセンサー(イメージセンサー)を搭載したシステムに統合したことで、コンパクトながら非常に高い画質を実現する。オートメーションや自動車、医療、ライフサイエンス、農業、物流など用途は多岐にわたる。

 生産ライン上を高速で流れるキャップを1つひとつ瞬時に撮影して、AIが欠陥を識別したり、分類したりすのをサポートするほか、検査結果をリアルタイムで記録し、完全なトレーサビリティを実現する。

 このカメラとAIの組み合わせによる検査ラインはどんな小さな欠陥も視覚化することができる。

 SOLOCAP社の産業統括責任者は「当社の要件には製品の安全性に加えて、特に誤判定があった場合の拒否制御もあったが、(今回の検査ライン)はすぐに対応できた。システムの効率性をさらに向上させれば、他の生産ラインにも導入できる」と語っている。

 今回の検査システムに関する問い合わせはIDS社がメールで受け付けている。
 s.terrasi@ids-imaging.de

SOLOCAP社製のボトルキャップのカラーは40種類に上るが、微細な欠陥を確実に検出する