伊藤忠商事(東京都港区、鈴木善久社長COO)は、昆虫を活用した100%バイオマスリサイクルシステムを開発したムスカ(福岡市、流郷綾乃CEO)に出資し、戦略的事業パートナーとなったことを23日明らかにした。
ムスカは旧ソ連の宇宙開発関連技術を研究起源とする昆虫(イエバエの幼生)を活用した100%バイオマスリサイクルシステムを確立した会社。一般的に家畜の排泄物から作る堆肥は、微生物の活動により最低2〜3カ月程度の時間を要し、堆肥過程で温室効果ガスが排出されることが問題視されている。
ムスカの昆虫を活用したシステムでは、肥料化が1週間程度と短期間で可能で、昆虫の消化酵素により分解されるため、温室効果ガスの発生量も抑えられるという。同システムで成長した昆虫は、畜産農家や魚の養殖業者などに提供され、供給限界に近づく飼料市場にも貢献している。
伊藤忠商事はムスカへの出資に加えて、国内初となるムスカのバイオマスリサイクル設備の第1号プラントへの参画を検討している。同社は「この参画をはじめ、国内外での伊藤忠グループのネットワークを活かし、既存事業・ビジネスとの相乗効果を創出しながら、将来の食料危機解消の一翼を担うとともに、世界の持続可能な発展に向けた循環型社会の実現をめざす」としている。