かつお節の「幸せ機能」守り育てる
マルトモ 本社工場(上)

 和食を主体に、あらゆる料理のだしに使われるかつお節は、風味が生命線であるだけに、その生産工程における気遣いは並々ならぬものがある。
 大手かつお節メーカーのマルトモ(愛媛県伊予市)は6年後の2018年に創業100周年。創業者の明関友市氏が1918年(大正7年)、瀬戸内海で獲れる煮干しなどの販売を開始して以来、業容を拡大し続けてきた。今ではかつお削り節をはじめ、かつおパック、だしパック、めんつゆ、だしの素などを扱い、年商253億円(2011年3月期)。最近はチルド食品にも力を入れている。

デリケート商品、品質管理は万全に

工場外観

 生産拠点は愛媛県伊予市に本社工場、第二工場、だしの素工場、第三伊予工場、チルド伊予工場、また、宮城県柴田郡柴田町に仙台工場、仙台第二工場を持つ。このうち、花かつお、削り節、かつおパックなどを生産するのが本社工場。
 6階建てで1982年(昭和57年)に完成した。5階で原料の前処理を行い、4階で削成、3階でかつお節を振り分けるほか、金属探知機にかけ、2階の包装ラインで充填包装する。人・もの・道具が最高の状態で三位一体となり、無駄のない生産ラインを目指す。1階は配送・出荷スペース。
 会社全体で1日に24〜25tのカツオ、サバ、イワシを使用する。そのうち約半分が本社工場。原材料はいずれも原魚のまま仕入れて管理する。メインとなるカツオは素材を厳選し、脂肪分が少ないものを選別して使う。
 同社では、かつお節を「人を幸せにする食材」と位置付ける。しっかりとダシの効いた料理は風味が良いだけでなく、薄味でも満足感を高め、結果として減塩となって健康生活にも貢献するからだ。
 かつお節のそうした「幸せ機能」を科学的に証明しながら、商品力を高めてきた。例えば、かつお節の旨みが焙乾中に形成されることを突きとめ、煮熱温度を変えることで旨み成分の強化につなげた。どれもアミノ酸含有量が多く、特に看板商品の「直火焼本かつお」はかつお節の究極的な風味を実現している。

削り節の充填工程