農林漁業・食品向け融資増加

 日本政策金融公庫の農林水産事業の2015年度融資実績は、2008年度の日本公庫発足以来、最高額の3760億円となった。前年度と比較し、農業はほぼ同水準、林業は減少し、食品産業と漁業が増加した。
 食品産業分野は697億円。国産農林水産物を取り扱う食品企業の設備投資に対応し、前年度から102億円増加した。漁業分野は229億円。構造改革のための大型漁船建造に対応した。中でも漁船関係の融資は前年度から60億円増加して191億円となった。

 2015年度は、水害や台風などが発生し、農林漁業者の経営に影響を与えたが、一時的に経営が悪化した農林漁業者に対応するため、速やかに相談窓口を設置するとともに、融資や返済条件の緩和などにより柔軟に対処した。
 東日本大震災で被災した農林漁業者や食品産業者に対する震災関連融資は、前年度から121億円増加し622億円となり、引き続き、被災地における復興に向けた取り組みを支援した。

 日本公庫は「政策金融機関として農林水産業の新たな展開を支援していくため、事業性評価融資の取り扱いを積極的に推進するとともに、これまで以上に経営感覚に優れた担い手の確保・育成、法人化の推進などに向けて必要な資金を円滑に供給する。セーフティネット需要にもきめ細かく対応する」としている。